第七話:一件落着
──アリスのせいで原因調査をする羽目になってしまった二人は、川の源流へと向かった。そこには、巨大な岩を纏ったトカゲが……果たしてこのピンチを乗り切れるのか!?
「こいつ図鑑で見たことあるんだけどさ、ロックリザードだっけ?図鑑だともっと小さかった気がするんだが……」
「こんな大きなロックリザードがいる訳ありませんわ!」
「ですよねえ」
「ここはわたくしにお任せ下さいまし」
「おっ、いつになくやる気だな」
「ここで手柄を立てて恩を売るんですの!」
なんだ、そう言うことか……。
「ん、何の音だ?…………うおっ!」
何かが飛んで来るような音がしたと思ったら、急にトカゲが爆発した。
「もう、一体なんですの?って、ああああああああ!巨大なロックリザードが……」
手柄を立てようと意気揚々としていたアリスが、見るも無残な姿になったロックリザードを見て泣き崩れる。
「ううっ、わたくしの手柄を横取りする愚か者はどこですの!」
「まあいいじゃねえか、事件解決したんだし」
怒り狂うアリスの姿がゴリラみたいで面白かった。
「そこの若いの、怪我はしとらんか?」
「誰だ爺さん」
「ワシか?ワシは、セルゲイ。ただの老いぼれたハンターじゃ」
「で、セルゲイの爺さんは何でここに?」
「近くで狩りをしとったら、お前さん達が襲われてるのが見えたんでな。この銃で撃ってやったわい」
「じゃあ、爺さんがあのデカいトカゲをやったのか」
「うむ」
「なあアリ……」
デカいトカゲを撃った犯人が分かった途端、アリスがセルゲイの爺さんに向かって走って行った。
「はっ、逃げろ爺さん!」
「なんじゃ?いだだだだだだだだ、何をするんじゃ!離さんか」
ああ、もう遅かった……。
「よくもわたくしの手柄を!」
「いだだだだだだだだ、髭を引っ張るな!」
「おい止めろ、アリス落ち着け!お前の力で引っ張ったら全部抜けちまう」
なんやかんやあって、アリスは落ち着いたんだが……。
「なんなんじゃ一体」
爺さんの髭が半分無くなっていた……。
「助けてくれたのにすまんな爺さん、コイツは獲物を横取りされて怒り狂ってただけなんだ」
「なんじゃ、そうじゃったのか。それはすまん事をした」
「いつまでむくれてんだ、もう過ぎた事だ諦めろ」
「フンッ」
「そんでこれからどうするんだ爺さん、俺達は事件解決の報告に行くんだが」
「ワシは疲れたから家に帰るつもりじゃ。この銃に使った魔力のせいでな」
「その銃凄かったな」
「なんじゃ、コレに興味があるのか?それなら、後でワシの家に来い」
「報告が終わったら、寄ってくよ」
「お前さん達、そんなに手柄が欲しいならやるわい。ワシは手柄に興味がないんでな。自分達が倒したと報告するといい」
「いいのか……爺さん」
「ああ、構わん」
「いやですわお爺様、それならそうと早く言って下されば良かったのに」
「手の平を返すな、お前さっき爺さんの髭むしり取っただろうが!」
「まあまあ、喧嘩せんで早く報告に行くがよい」
「分かったよ爺さん、また後でな」
「ごきげんようお爺様」
「うむ」
旅仲間のお嬢様がゴリラでも大丈夫ですか? たける @t_f_4824
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