第六話:原因調査
──例によってアリスは牢屋へ投獄され、置いて行こうと思った矢先に巨大な地震が砂の国ラハリアを襲った。
「馬鹿デカい地震だったな、これも災いの影響なのか……ん?」
俺達に手を振りながら走ってくる金髪は……。
「ハアハア、皆さんお怪我はありませんこと?」
「なに平然と牢屋から脱走してるんだお前は」
「大きな地震が来てから、看守の方達が慌ててどこかへ行ってしまわれたので、仕方なく檻をこじ開けて来ましたの」
「普通にダメだろ……」
後で指名手配とかされそうだが、何か言われたら他人のふりでもするか。
「向こうの方が騒がしいな、行ってみるか」
「そうですわね」
「私はちょっと調べる物が出来たから図書館へ行ってくる」
「分かった、じゃあ後でまた会おう」
「ああ」
俺とアリスは、人が集まっている所へ向かった。
「なあ、一体何があったんだ?」
情報収集のために俺は、野次馬に聞き込みをしている。
「さっき、デカい地震があったろ?そしたら、川の水が干上がっちまったんだ」
「なるほどな、ありがとよ」
地震に川の水の干上がりなんて、いよいよ災いが本格的になってきたな……
「皆の者!静まるのにゃあ」
どこかで聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「知っての通り、地震によって川の水が干上がってしまった原因を調査中にゃあ。原因が分かるまで、落ち着いて行動するようににゃあ」
バカ猫のくせに真面な事を言ってるのがムカつくが、ちょっと見直した。
「あんな奴でも、ちゃんと次期女王としてやってるんだな」
「あんな奴とは酷いにゃあ」
「なんだ聞こえてたのか」
アリスがバステトを見た瞬間、俺の後ろへ隠れた。
「そうにゃあ、お前達には原因調査の手伝いをして欲しいにゃあ」
「なんで俺達が……」
「心当たりがあるはずにゃあ、父上の骨を折った上に牢屋の檻を壊して脱走するなんてにゃあ。そんな奴の仲間がいたら、捕まえて一緒に極刑だにゃあ」
「ううっ……」
アリスが自分のしでかした事への罪悪感で縮こまる。
「分かった、分かったから!頼むから辞めてくれ」
クソッ!アリスのせいで俺まで命の危険が……。
「んで、どこに向かえばいいんだ?」
「お前達には、川の源流まで行って様子を見てきて欲しいにゃあ。くれぐれも気を付ける事にゃあ」
「はいはい、ご心配どうも」
俺達は、川の源流へ向けて出発した。
「「ああああああああああああああああ」」
道中、サンドシャークの群れに出くわした俺達は逃げまくっていた。
「勘弁して下さいまし!わたくしが攻撃しても、柔らかい砂に吸収されて攻撃が当たりませんの」
「俺の魔法じゃ威力が足りねえ。ちきしょう!こうなるんだったら、ルミナスを連れて来るんだった」
「どうするんですの?このままでは二人とも……」
「ん?アイツら追いかけて来ねえぞ、どうしたんだ?」
「あの……マルス、うし……後ろ」
何かに気づいたアリスが怯えた声で言ってくる。
「なんだよ!何がいるって……んだよ」
後ろを振り返る。
「…………」
なんか、巨大な岩を纏ったトカゲみたいなのがいた気がしたが見なかった事にしよう……。
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