夢物語のような出来事ですが、現実でした

 大変な目に合いました。

 お母さんにRINEの友達登録の仕方を聞いたら、夕飯がこれでもかというくらい豪勢なものになってしまいました。お母さんのテンションが上がったり、嬉しいことがあるとすぐ創作にぶつけてしまう癖は良し悪しです。

 

 主食にオムライスとグラタン。汁物にコーンスープにダゴ汁。メインディッシュにはハンバーグとお好み焼き。


 すべて、すべて私の大好物です。一品ずつ出てくればですが。全てを食べるのに苦労しました。きっと明日の朝食どころか、夕飯までいらないと思います。

 

 ベッドの上で悶え苦しみながらも何とか夏海さんのRINEを登録し終えました。


 ーーピロン。


 何とかできた安堵のため息と同時に通知音がなります。

 スマホが伝えてくるのは夏海さんからRINEがきたということでした。


 初めての家族以外とのRINEです。少し緊張してきました。期待と不安が手を取り合って私の周りをぐるぐる。ぐるぐる踊っています。


 無意識に生唾を飲み込み、意を決して初めての友達から私に向けたお手紙の文面に目を通します。


『もー待ちくたびれたよ。迷惑だったんじゃないかって不安になったんだから。

 早速だけど、大事なお話があります。私、枝折夏海はあなたを守ることを宣言します』


 衝撃的な内容でした。


 全く意味のわからない内容です。


 ーーピロン。

 『真尾たちが、いじめのターゲットにするって。絶対にそんなことさせないから。もう、犬上と八雲は手出しができないようにしたし』


 お友達とのRINEとは中々にハードなもののようです。まさか、初めてのメッセージがあなたを守るという宣言に加えて、いじめられるから気をつけてだなんて。正直、どうお返事をしたらいいのか分かりません。


『夏海さんへ

 忠告と宣言、嬉しく思います。ですが、夏海さん1人に苦労をかけたくはありません。もし、私がいじめのターゲットになるのならば私も戦います』


 裏図書室の物語の脇役のようにただ、勇者の自己犠牲を当たり前のように受け止めているのは納得が行きませんでした。同じようにはなりたくないと強く思ったのです。


 文面を打ち、送信もした後に気づきました。私は夏海さんのように強くありません。私にできることとは何でしょうか。

 

 私にできることと言ったら本を読むことくらいです。




「ああ、本を読めばいいのですね」

 夏海さんと共に戦う手法を思いついてしまいました。

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