35's~48's_藤と呼ばれるクソガキ

第1話 FUJI SPECIAL

例えば、動脈に注射された液体が語り掛けてきたとしよう。

 唐突に、ある日突然、脳内に入り込みながら薄らと。

  ドクッと波打った脈に、語り掛けられている言葉が告げている。とても偉大な力が漲っているとでも言うように。頭はぶちまけそうなほど痛みながら、脳みその一部が腐りかけて林檎の皮に、そう皮になっていく。

 果てしなく、気付く。そこで、突如として相応ゆえに。

 

「なんだ、_おれは不死身なのか」


 藤、後にナインと呼ばれる男が一人。

助かりもしない注射痕の熱に浮かされながら、ひっそりと。

 まさしく、それは1948年、暑い盛りの終戦後であった。

    ファッキン、アップル共。

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