第二百九話 ダンジョンでの植物採取
俺は二人を残し、一人でフロアの奥まで歩く。
フロア端の木々に辿り着いたところで、早速植物採取の始まりだ。
鑑定済みの植物はレベル10以上を目途に採取をし、未鑑定の植物はその場で即鑑定を行う予定。
記念すべきダンジョン最初の植物は——と、見つけた。
木の根っこ付近に生えていた魔力草に手をかざし、手慣れた手つきで鑑定を行う。
【名 前】 魔力草
【レベル】 -24
【効 能】 魔力低下(微低)
【繁殖力】 ???
【自生地】 ダンジョン(ランダウスト)
うーん。最初は大ハズレからのスタート。
魔力草なのに効能が魔力低下。
とんでもないハズレ植物だし、こうして実際に生えているのを鑑定するとなって分かったのだが、鑑定の際のマイナス表記が微妙に分かりづらい。
今も一瞬はレベル24かと思ったし、流れ作業だと間違える可能性も高くなりそうだ。
まあ、数本だったら間違えても支障はないし、ミスしないようにと気負わず、速度優先で採取に挑もうか。
それから十階層にて、脇目も振らずに植物採取を行うこと数時間。
俺は一人でこの辺り一帯の有用植物を、採取し終えることが出来た。
やはり初めてのダンジョンでの採取ということもあり、面白い植物をかなりの数見つけることができ、非常に大満足の結果。
その中でも特に一際目を惹いたのは、ポンド草という植物。
この植物はダンベル草のように、一見ただの雑草なのだが……。
【名 前】 ポンド草
【レベル】 76
【効 能】 防御力上昇(小)
【繁殖力】 ???
【自生地】 ダンジョン(ランダウスト)
このように、効能がダンベル草と同じで基礎能力を上昇させる植物だった。
ダンベル草がパワーを上げる植物なら、ポンド草はディフェンス、タフさを上げる植物。
もしかしたらダンジョンに、ダンベル草のような植物があるのではないかと思っていたのだが、まさか植物採取を行った初日で見つけることが出来るとは思っていなかった。
傾向を考えるならダンベル草同様に、生成に高い魔力を必要とすると思うため、筋力を優先的に上げたい現状ではまだ使う機会は少ないと思うけど、俺が将来的に強くなるための大きな発見だったと思う。
それとこのポンド草だけでなく、他にも即座に使えると思った植物が二種類ある。
【名 前】 クイック草
【レベル】 18
【効 能】 敏捷力一時上昇(中)
【繁殖力】 ???
【自生地】 ダンジョン(ランダウスト)
【名 前】 フォーカス草
【レベル】 29
【効 能】 集中力一時上昇(中)
【繁殖力】 ???
【自生地】 ダンジョン(ランダウスト)
それがこの二種類の植物。
二種類とも、ダンベル草や先ほど見つけたポンド草と同じ類の植物だと一瞬思ったのだが、どうやら一時的にだけ上昇させる植物のようだ。
多分だけど、俺が『エルフの涙』で作成した、ダンベル草ポーションと似たような効能だと思う。
そう考えれば、上昇が一時的だろうが確実に使える植物だし、粘着草と組み合わせて作った薬草団子ならぬクイック、フォーカス団子を作れば、無手の状態からでもバフでのサポートを行えるようになる。
もちろんポーションの材料としても期待が出来るし、もしかしたらポンド草よりも使用頻度が高くなる可能性を持つ植物だと思っている。
効能に関しては、一本目のクイック草の敏捷上昇は非常に分かりやすいが、問題は二本目のフォーカス草。
集中力を一時的に上昇させるようだが、正直いまいちピンとは来ていない。
ヴェノムとやりあった時のような感覚に近い状態になれるのだとしたら、相当強力な植物だと思うけど、果たしてどこまでの集中力を上げるのかは試してみないと分からないな。
ただ仮に、俺に対して効果が発揮しづらかったとしても、アルナさんは弓を主な武器として使っているし、筋力上昇よりも集中力上昇の方がバフ効果としては優秀な可能性が非常に高い。
それと……。ロザリーさんのあがり症問題も、もしかしたら解決する可能性がある。
集中出来れば周りが気にならなくなるし、植物のままでは効果が薄くともポーションの材料とすれば、あがり症問題解決の特効薬となる可能性を秘めている。
詳しい効能についてはこれから調べていくとして、新種であるこの二種類共に期待の持てる効能を持っていた。
未鑑定の新種植物以外にも、俺は高レベル植物をいくつか採取しており、今回採取した中で一番レベルの高かったのは薬草のレベル102で、まさかの三桁レベル。
効能は上薬草を超える効能を持っており、薬草と鑑定されていることに疑問があるくらいの、正に三桁レベルに見合った効能を秘めていた。
だが、こういった超高レベルの植物があれば、マイナスレベルの植物もゴロゴロと生えており、コルネロ山とは違ってムラがあるせいで、鑑定した量は同じでも採取出来た量に関しては半分以下であった。
ただ、新種を発見出来たということもあるけど、個人的な満足度でいえばコルネロ山を大きく上回っている。
俺はホクホク顔で大量の植物を抱え、まだ先ほどの付近で採取を行っている二人の下へと歩いて戻ったのだった。
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