第3話 思い出2 (カエデ)

「凛桜、ボーっとしてどうしたの??」


陽向の言葉で、自分がここまであの告白に引きずられているんだと自覚する。


「いや、」


今は話す気になれなくて、適当に誤魔化して窓の外に視線を移す。


(あっ、、、)


そこには校庭で楽しそうにサッカーをしている陽斗がいた。一度視界に入ると、どうしても目が離せなくなる。何故だろうか。



「凛桜はさ、今までずっと陸上ばっかで告白とかスルーしてきたじゃん、?」


窓の外を見る私に陽向は言った。


「うん、正直、今もよくわかんない。」


これは本心だ。誰かを好きになるその感情が私には理解できない。


「頭の中その人でいっぱいになったりさ、気づいたら目で追っちゃってたり!誰にも渡したくないって思ったり。そういうの好きって気持ちだと思うよ。」


私の気持ちをさとったかのように陽向は言った。


(誰にも、渡したく、ない、?)


「陽向、ありがと!」


この気持ちの正体を教えてくれた陽向にお礼を言って私は走り出した。



「陽斗先輩っ!!」


「凛桜ちゃん!?」


私の声にビックリしたのか目を丸くして小走りでこっちへ向かってくる。


「あのッ、その、さっきの。返事はなくていいって先輩言ったけど、ちゃんとしたくて。」


「うん、聞かせてくれるかな、?」


そうだ。陽斗はいつも優しくて、私を一番に考えてくれている。私は深呼吸をして、陽斗の目を見た。


「正直、好きとかよくわかんなくて、今も自信はないんですけど。ずっと考えちゃうんです。先輩何してるかな?とか。サッカーしてるとこだってずっと目で追っちゃったり、頭から離れなくて。多分、いや絶対。好きになってるんです、陽斗先輩のこと。だから!私と付き合ッ」


その言葉をさえぎるように私は抱きしめられた。


「あー、ごめん。それは俺が言いたい」


そう言うと陽斗は私の目を真っ直ぐ見つめた。


「凛桜ちゃん。俺と、付き合ってください」


「はい、」



こうして私たちは付き合うことになった。人生で初めての恋。初めての彼氏。きっとこの先も忘れられない、そんな恋になるだろうとどこかで思った。










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