short story~声劇~【花火】

くおん

【花火】

神社境内で賑やかに夏祭りが開催されている。

屋台から香ばしい香りが漂ってきたり、甘い香りや、子供たち、カップルが金魚すくいをしている。


「早くきちゃったかな。。。」

「祐はこの場所分かるかな。。。」

一番分かりやすいと思い彼女に神社の本堂で待ち合わせを伝えたのだった。


しかし心配で挙動不審になるタケシ。

時計は持っていないからスマホの画面を見ながらつぶやいてる。

それにしても待ち合わせの時間の30分前だから相手もそんな早くに来るとは限らない。


「久しぶりに夏祭りかぁ~。やっと心から好きって思える人と一緒に夏祭りに来れる。」


「約束の時間よりめっちゃ早く着いちゃったよ。。。まだ連絡するには早いしどうしよっか。。。」


そう思っていると

どこからともなく声が聞こえてきた。


「アナタノオモイハ、ホンモノナノ?」


辺りを見渡すタケシ。。。

「何か聞こえたか。。。空耳?」


「アナタノオモイハ、ホンモノナノ?アナタノタイセツナモノハダレ?」


「誰?何言ってるの?誰なの?」

確かに聞こえて来た。


「アナタガタイセツナヒトヲズットマモレルノ?」


「誰か分かんないけど祐は絶対に大切にする!」


「タイセツニシナケレバ、カノジョヲモラウゾ」


「だから何だよっ!気持ち悪いなお前は!」

「やっと会えるんだ!今日、俺は彼女に告白するんだ!」

「お化けか神様かしらないけれどまだ始まってないんだ!だから今日こそ」


どこからともかく聞こえる声の口調が強くなる。

「オマエノホンシンカ?」


「もう幸せと思える人を悲しませたりしたくないんだ!訳の分からないやつに俺と彼女の心を奪わせたくない!」


「ホントウカ?」

「ナラバソノオモイタシカメサセテモラウ」


突然、意識が失っていくタケシ。。。


。。。ちゃん。。。


た。。。ちゃん。。。

どこからともかくタケシを呼ぶ声。。。

心地いい聞き覚えのある声だった。


「たーちゃん?大丈夫?」


はっと気づくタケシ声の主は浴衣姿の祐だった。


本堂の階段に座り込み意識を失っていた。


「たーちゃん大丈夫?座り込んで呼んでも反応しなかったから。。。」

半べそかきながらタケシに言った。



「ごめん。なんか声がどこからかしてそのまま記憶がない。。。」


「怖いよ~そんなこと言わないでよ」

涙目で答える祐


「大丈夫だよ。ごめんね?心配かけて。

疲れてだから多分、眠っていたんだと思う」


「待ち合わせで眠っちゃうの?もうっ!

今日は楽しみにしてきたんだからっ!心配させないでよ!」涙目でふくれっ面の祐はめっちゃ可愛く見える。


「ごめん。。。大丈夫。境内に行こっか」

「そうそう。せっかく本堂にいるからお参りしていこうよ」


本堂で手を合わせる二人。。。

お参りが終わると顔を合わせてニコッと二人笑顔を交わす。


「何お参りしたの?」とタケシ


祐は

「ひみつ」

ちょっと意地悪そうな顔をする。

「ねぇねぇ?私の姿見て何か言ってくれないの?」


「あっ!ごめんっ」


夏祭り用に買っていた紺色に花火柄の浴衣。髪はタケシの好きな後ろ髪をアップした姿。

タケシの理想の姿をして来たのだった。


「めっちゃ綺麗でかわいいよ」

「もうっ!もう少し早く気づいてよ!」

「ごめんって」

「もうすぐ花火始まるよっ早く行こうよ!」


手を引っ張られながら小走りになるタケシ。

そして祐より前に行き手を繋かえタケシがリードする形になる。

その姿に見惚れる祐。

タケシは

「もうこの手を離さない。」

「もうっ!何言ってるんだか。。。」

頬を赤らめる。


そんな時に

ドドーンと一発目の花火が打ち上がる。

「あっ!始まった!」二人同時に話す。

そして連打の花火が始まりだした。

祐は涙目で花火を背にタケシに振り向く


「もう私の手を離さないでね?」


タケシはその姿がとても綺麗でそして可愛くて世界で一番愛おしく思えた。

そして心の奥から誓った。


「もう絶対に離さない。悲しませない。心から誓う。だからオレと付き合って欲しい。ずっと大切にするから。」


祐の手を握り片手で小さな祐の肩を手繰り寄せ抱きしめキスをした。。。


「祐の全てをずっと大切にする。約束する」

「うん。。私もたーちゃんを大切にする。」


花火の音が鳴り響き連続で打ち上がる花火に

肩を寄せる二人を照らす。

どこからかまた声が二人に聞こえた。


「フタリノオモイガホンモノナラバコノサキニイロンナコトヲノリコエラレル」

「フタリノオモイ、シカトミトドケタ」

「フタリニシアワセガオトズレルヨウニミマモリツヅケル」


二人は顔を見合わせた。

「聞こえた?」

「うん」

「さっきの神様のお願い事って?」

「祐をずっと大切にするって」

「私も同じ」

「マジ?」

「うん。だってこの神様は縁結びの神様だって。さっきググッてみたの。もしお互いを大切にしなかったら怒ってバチあたるんだって」

「うっそ!こわっ」

「それくらい大切にしなきゃってことでしょ?怖いなら付き合うのやめる?」

「イヤだっ!絶対大切にする。だから。。。ん?」

祐からタケシにキスをする。

二人は誓い合う。。。。

もうお互いの手を離さないと。。。fin

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

short story~声劇~【花火】 くおん @qonstreet0625

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ