僕と彼女と幽霊の
影神
1限
いつからかは忘れてしまったが。
僕には、普通の人には見えないモノが見える様になった。
彼等はひとりで何かを喋っていたり。
ひとりで何かをしていたりもする。
そうして、たまに。
僕が見ている事に気が付き。
自分達の"想い"を解決する様に。
協力を求められる事があった。
だがそれは簡単では無かった。
男子生徒1「何だアイツ。」
男子生徒2「友達すくねえからじゃね?」
女子生徒1「ひとりで喋って気持ち悪い、」
女子生徒2「キモい」
「なあ。?
そうやってアピールするのは良いけれど、、
お前そろそろ病院行って見て貰った方が良いよ。」
担任は、そう吐き捨てた。
自分でも分かっていた。
けれど、ほおっては置けなかった。
そうして地元には居ずらくなり、
僕は家から遠い高校へと通った。
「よしっ。
なるべく"普通"に、、」
だが。そんな思いも虚しく。
彼等は一方的にやって来たのだった。
今までも無かった訳じゃなかった。
上手く流し、ひどい時には対応した。
その日は夏休みに関する集会で。
体育館に行く前に、僕達は廊下で並ばされている最中だった。
よくある服装検査だ。
他のクラスは検査が終わり、担任が連れて行ったが。
僕のクラスの担任は、まだ来て無かった。
「いやあ。。
どうなってんだ。。
すいません。
おーい!!」
若い男性。
僕よりも歳上らしき人は、
"見える人"を探していた。
すると、ある生徒があからさまに顔を背けていた。
それに気付いた彼は、その生徒に話し掛ける。
「なあ!?
見えているんだろ??
なあ。。
頼むよ!!
大変なんだ。」
考えている事を。
彼等は読み取ってくる。
視線をずらした所で。
もう遅いのだ。
僕は、2人を見ていられなくなり。
結果は分かっていたが、
声を掛けてしまった。
「やめてあげてくれないか?」
予定通り、周りからは変な目で見られた。
せっかく新しい場所で。
新しく初められると思ったのに、、
と言っても、友達はまだ出来なかったが。。
男性「何だ。
ようやく見える奴が居たわ、、
別にこの子がタイプとかじゃなくてな??
ちょっと急用で知らせたい事があってな。」
「後にしてくれないか??」
タイプ??
よく見ると、話し掛けられていたのは女の子だった。
タイミング悪く、うちの担任が来る。
「お前。誰と話してんだ。
頭、、おかしんじゃねえのか?」
周りからは笑い声がした。
ひとりで話している僕に、担任は言った。
男性「おぉ!!
久しぶりだな??
元気か??
それより大変なんだよ!!!」
どうやらこの人は、先生に用があるみたいだった。
「はあ、、」
僕は深い溜め息をした。
遅れて来たくせに、人を変人扱い。
更には、自分が関わっているのに、、
男性「、、すまんなあ?
こんな大人になってしまったか。。」
男性は、申し訳なさそうに謝る。
担任「きちんと身だしなみ整えて。
先行ってろ。」
クラスが行く中。
僕だけが残された。
担任「お前。大丈夫か??」
心配そうに、手でおでこに触れると、
行ったはずの生徒がひとり戻って来た。
それは、先程の女の子だった。
絡まれていた女の子は、担任の持っていたバインダーを取る。
担任「何してんだ??」
女の子は紙を裏返すと、何かを書いていた。
女の子「ちょっと待ってて下さい。」
担任と僕はそれを見ていた。
それは、僕と彼女の見えている、
男性を描いていたのだ。
途中から担任の顔色が変わった。
担任「そんな馬鹿な、、
この制服は、、」
絵を描き終えると、女の子は教室に戻り、
女の子「早退します。」
と言って、帰って行った。
担任「ちょっと、待て。。」
担任は、それを見つめる。
担任「、、どういう事だ?」
僕は彼女の事が気になりながらも。
横にいる男性の話す事をそのまま伝えた。
何でも、担任の幼馴染みが事故に合ったと。
早く行けと言っている事を伝えた。
担任「そんな馬鹿な、、」
担任は動揺していた。
「彼は亡くなっているのですね、」
担任「あぁ。。
丁度この時期にな。
泳ぎが上手かったんだが、、」
彼は、担任の友達だった様だ。
「早く行ってあげて下さい。
"後悔するな??"
だそうです、、」
その言葉を聞いて、担任は走った。
担任「ちゃんと行けよ??」
「はーい、、」
僕も早退する事にした。
待ちに待った高校最初の夏休みは。
今まで通りに。
友達との約束もない。
寂しいモノとなった。
僕と彼女と幽霊の 影神 @kagegami
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