エピローグ1・リリーside
「ここは……どこ……?」
真っ暗な空間の中で、リリーは目を覚ました、目の前には、大きな鏡がある、しかし、鏡の中の自分は俯いており、微動だにしない。
「何で……?」
「え……?」
突然、鏡の中の自分が話しかけて来る。
「何でラウルを見捨てたの?」
「!?」
鏡の中の自分の言葉に思わず後ずさるリリー。
「何でラウルを助けなかったの……?」
「そ……それは……」
鏡の中のリリーは少し顔を上げ、生気の無い瞳でリリーを睨む。
「あの時、助けてもらったのに……」
鏡の中のリリーは少しずつリリーに近付いて行く、それに対し、リリーは後ずさろうとするが、背後に見えない壁のような物が現れ、リリーを遮る。
「何度も助けようと近くまで来てたのに……結局怖気づいて、尻込みして、逃げ出して……」
鏡はさらに近付いて行く。
「止めて……止めて……」
リリーは耳を塞ぎ、しゃがみ込む。
「その結果が、訳の分からないドラゴンに先を越されて、ラウルはそのドラゴンと駆け落ち……まあ当然よね、見て見ぬふりした女より、例え人外でも助けてくれた方を選ぶのは……」
(助けて……助けて……ラウル……)
「助けるわけないじゃない、あんたみたいなカス女……」
リリーは眼に涙を浮かべ、目を瞑る。すると、突然鏡から手が伸び、リリーの頭を掴む。
「目を背けてないでちゃんと見なさいよ……」
「醜いあんたにお似合いな……この姿を。」
手を伸ばした鏡の中のリリーは、リリーに見せる。身体は赤黒く染まり、頭や肩から禍々しい角が生え、さらに口は耳元まで裂け、眼は4対に増えた自分の姿を……
「あ……あ……」
リリーは震えながら自分の両手を見る、その手は、赤黒く染まっており、爪は禍々しく伸びていた。
「イヤアアアアアアアアアアアアアーーーーーー!!!!」
リリーが絶望に叫んだその時、頭上から眩い光が降り注いだ、その光に二人のリリーは眼を瞑る。
「……ううん……」
リリーが目を覚ますと、目の前には自分を抱えるラウルの顔があった。
「……ラウ……ル……?」
「リリー……」
自分の顔を見て安堵の表情を浮かべるラウル、それを見たリリーは安心したのか、再び意識を手放した。
――――――――――
「……ハッ……ラウル!」
「リリー!」
リリーが飛び起きると、傍にはアンディがいた。
「アンディ……」
「良かった、目を覚ましたか……」
「ここは……?」
「治療院だ、ラウルが運んでくれたんだよ。」
「ラウルが……やっぱり、夢じゃなかったんだ。」
リリーは安堵の笑顔を浮かべた。
「夢……?」
「ラウルが……アウストから私を助けてくれたの。」
それを聞いたアンディは気まずそうな顔を浮かべる。
「ラウルはどこ?」
「……」
別れ際のラウルの言葉を思い浮かべ、返答できないアンディ。
「アンディ……?」
「ラウルは……もういない。」
「え……?」
アンディは全てを話した、ラウルが海を渡った事、ラウルが別れ際に言ってた事も全て。
「……」
全てを聞いたリリーは、俯いたまま何も言わなくなった。
「リリー……」
「ごめん、アンディ……しばらく一人にして……」
「……うん……」
アンディはそのまま部屋を出た。
(私……まだ何も言ってないのに……)
(言いたい事……色々あったのに……)
リリーはしばらく俯いていたが、顔を上げて窓の外を見る、その顔には、僅かな微笑みが見られた。
(そっか……いいわよ……そっちがその気なら……付き纏ってやるんだから。)
この後、リリーはラウルに会う為に長い旅に出るのであった。
ドラゴンと共に行く~何故か魔法がうまく使えず学校では虐められ家でも鼻つまみ者でしたが最強種族が味方に付いて全部解決したので家出して学校も辞めました~ @saizu
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