王様、イン
結騎 了
#365日ショートショート 206
王様は部屋に入るなり服を脱ぎ始めた。
ラフな格好になり、真っ白なベッドに飛び込む。おもむろに仰向けになった後に、ごそごそと動き回り、空調を調節した。
嗚呼、なんて解放感なのだろう。ここだけ時が止まったかのようだ。果てしない万能感。これがたまらない。
一息つき、先刻脱ぎ散らかした服を綺麗に畳む。鞄から取り出した日用品をあらためながら、然るべき位置に置いていく。これはここ。これはあっち。えっと、これはこっちの方が使いやすいかな。
では、一杯やりますか。
部屋に入る前に調達していたお酒。それを開け、煽るように喉に流し込む。ごくり、ごくりと身体中に染み渡り、思わず目がぎゅうっと閉まる。ん〜、効く。
さてさて……。お湯の温度を確かめながら、浴槽に湯を張っていく。部屋にこだまする音。どぼどぼどぼどぼ。今は、それすらも心地よい。
ここはビジネスホテル。俺は今日だけ、ここの王様だ。
王様、イン 結騎 了 @slinky_dog_s11
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます