第13話 「呉越同舟!最強タッグ結成!」

一本杉 勇(いっぽんすぎ いさむ)

正義感の強い明るいお調子者。

拳道越流師範代、龍虎の弟子。

秋光のことは親友だと思っている。

鬼龍への怒りで暴走していたが……


二宮 楓(にのみや かえで)

常識人。龍虎の養子で勇と同級生。

そこそこ強い。

勇のブレーキ役で勇のことは出来の悪い弟だと思っている。

最近の鬼気迫る勇を心配している。


二宮 龍虎(りゅうこ)

拳道越流師範代。常に冷静で厳格。鬼龍とは兄弟弟子。

厳格な性格で勇を厳しく指導するが、本心ではかわいい弟子だと思っている。

鬼龍との決戦にて負傷中


三菱 秋光(みつびし あきみつ)

勇と同じ学校に通う文武両道の優等生。

誰にでも人当たりがいいので学校でかなりモテている。

だが裏の顔はフードで顔を隠し不良やヤクザを狩る武道家。

勇を助けるために鬼龍との戦いに挑む


四方田 浩一(よもた こういち)

引っ込み思案な性格の転校生だったが、龍虎に言われた言葉で変わりつつある。

勇は頼れる友人だと思っているし、つっこみ役が板についてきたところもある。

現在鬼龍の一撃にて昏倒中


ホァン

鬼龍の弟子、さまざまな中国拳法を駆使して戦う。

中国人。軽い性格で思ったことを口にするタイプ。

龍虎の弟子をライバル視しているし、見るたびに強くなる勇を好ましく思っている。(そういう好きじゃない)


メリッサ

鬼龍の弟子、カポエイラとコマンドサンボを駆使して戦う。

アメリカ人。明るい性格。

龍虎の弟子をライバル視しているし、見るたびに強くなる勇を好ましく思っている。(そういう好きじゃない)


鬼龍(きりゅう)

裏社会で恐れられている武闘家。

流派は拳道越流と自称している。

残忍で目的のためなら手段を択ばない極悪な性格


勇♂:

楓♀:

龍虎♂:

浩一♂(少年♀):

ホァン♂(少年♀):

メリッサ♀:

鬼龍♂:

ナレ不問:

8人

♂:4-6 ♀:3-1 不問:1


シーン0 サブタイトル

勇「「鉄魂(てっこん) 第13話 呉越同舟(ごえつどうしゅう!)最強タッグ結成!」」


シーン1 旧道場

ナレ「道場内に打撃音が響き渡る。勇は鬼龍に一歩も引かず食らいついていた。」


龍虎「鬼龍……わざと攻撃を受けているな……!」


楓「!? どうして!?」


龍虎「今理解した。ヤツがなぜこうなってしまったのかを……」


楓「どういうこと…?」


龍虎「あいつはずっと死に場所を求めていたんだ……美幸さんが死んだ時からあいつの心は死んでしまったんだ……

気づけなかった、俺は……あいつの兄弟弟子だったのに……」


楓「じゃぁ……」


龍虎「万が一、今の勇が鬼龍を超えることがあれば、鬼龍は自ら勇によって殺されることを望むだろう。

だが……(タメ)その前に勇が死んでしまう……!」


楓「そんな!!!」


鬼龍「どうした勇、お前の激情はそんなものなのか?」


勇「ぜっ……ぜっ……はぁ……」


鬼龍「ふっ、眼が生きているな……!まだまだやれるだろう?」


勇「あ、当たり前だ!!!!!」


ナレ「勇のラッシュをすべて受けきり、呼吸のタイミングで鬼龍は反撃。

腹部に拳を受け自分で後方に飛んだ勇は突然後ろから掴まれ、龍虎、楓のいる場所に投げ飛ばされる」


SE:ドサ


勇「ぐあっ……」


龍虎「勇!」


秋光「交代だ、一本杉。」


楓「秋光くん!?」


鬼龍「三菱 秋光か。久しぶりだな。気丈にはふるまっているが……その傷、戦える状態には見え


秋光「次は俺が相手だ、鬼龍。」


鬼龍「フッ……若いな」


勇「ま、まてよ秋光……そいつは俺が」


秋光「ふざけた戦いしてんじゃねぇぞ一本杉!!!!てめェも師匠ならちゃんとそのバカ教育しておけ!!!!」


秋光VS鬼龍 戦闘


龍虎「秋光くんの言う通りだ。勇。」


勇「なんで!俺はあいつが許せねぇから!!!」


龍虎「……君は武力をもって相手を叩きのめしたいのかい。」


勇「……!! 違う。俺は理不尽な暴力で悲しむ人を助けたかった……」


龍虎「そうだ。怒りに身を任せるな。どんな感情も呑み込み、自分の武力に変えるんだ。

感情で振るう拳で人は救えない。」


勇「そうだった……そうだったのに、オレ……」


楓「勇、助けてくれてありがとう。」


勇「そんな、俺はまだ……」


楓「ううん、いつも勇は支えてくれたよ。私だけじゃない、浩一くんや秋光くんがここにきてくれたのも、勇のおかげだよ。

だから、いつも通り戦って。あなたが学んできた拳道越流をあいつにぶつけて…!」


勇「楓……。わかった、オレ行ってくる!!!」



秋光「はぁ……はぁ……連戦してるのにこの技のキレ……バケモノだな……」


鬼龍「確かにホァンを倒すだけはある、やはりお前は俺の弟子になれ。気に入らん奴を全員殺せる拳を身に着けたいだろう?」


秋光「あぁ、そうだったな。(タメ)だがもうやめたんだよ!!一本杉!!!」


勇「ああ!!!いくぞ!!秋光!!!」


勇、秋光VS鬼龍


ナレ「息のあった2人のコンビネーションに鬼龍は防戦にまわる。

龍虎の攻撃、勇の猛攻を受け、それでも余裕の笑みを浮かべる鬼龍は2人に反撃を放つ。」


SE:殴る

SE:殴る


鬼龍「いいぞ、いよいよどちらが死ぬかわからなくなってきたじゃないか……!」


勇「はぁ……クソ、あんなんじゃ効いてるかどうかわかんねぇな……」


秋光「オイ、てめぇなんか有効打もってねぇのか。武術家だろうが」


勇「あ!!!!!ある!!!!」


鬼龍「なにをごちゃごちゃと!!!」


SE:殴る

SE:殴る


勇「秋光、まずはアレいくぞ!」


秋光「あ?あぁ…てめぇが勝手に合わせろ!」


ナレ「2人同時の虚影。その予測不能な動きは初めて鬼龍に直撃を許した」


鬼龍「チッ……」


勇「拳道越流奥義!空衝風迅打(くうしょうふうじんだ)!」


鬼龍「なに!?ぐふっ……」


ナレ「二度目の奥義。その衝撃でその場に膝をついた鬼龍は、その拳から先ほどまでの殺意が消えたことを感じ、

湧き上がる怒りで体の損傷からくる不快感と痛みを噛み殺しながら立ち上がり吠えた」


鬼龍「き、キサマ……手を抜いたか!!!!」


龍虎「あ、あれは私が教えた空衝風迅打(くうしょうふうじんだ)ではない……

相手へのインパクトの瞬間体を開き、反対の手から気を逃がした……!」


楓「つまり…?」


龍虎「あれなら傷を負うことなく技がうてるということだ……勇、いつの間に……!」


勇「威力は下がるが、師匠の全力くらった2発目だ!

鬼龍、お前は絶対ぶっころさねぇ。まいったさせてやるよ!」


鬼龍「あまったれ小僧が!!!!」


SE:タンッ


鬼龍「空衝風迅打(くうしょうふうじんだ)!!!!」


SE:殴り(大)

SE:ビシッ(破壊音)


ナレ「両者の腹部に放たれた鬼龍、両腕のそれにより、勇はその場で片膝をつき、秋光は後方に吹き飛びピクリとも動かなくなった。」


龍虎「勇の改変した技を……さらに……!」


鬼龍「これが技の進化だ。温情を加える劣化技とは違ってな。」


龍虎「もうやめろ!!!」


鬼龍「ほう……立ち上がったか。」


ナレ「龍虎に視線をうつしたその刹那、鋭い蹴りが鬼龍を襲う。」


勇「まだ終わってねぇ……!」


鬼龍「今の蹴り……俺の……!」


勇「ホァタ!」


鬼龍「むっ、これは…!」


楓「あっ中国武術!」


勇「下だ!」


龍虎「カポエイラ……!土壇場で身に着けたか……!」


鬼龍「小癪な!」


ナレ「勇は蹴りをつかんだ鬼龍の腕に絡みつくようにサブミッションをしかける。」


鬼龍「軽い!!」


ナレ「無理やり振りほどくも、パキッといやな音が道場に響く。

それは鬼龍の左腕靭帯が完全に伸びきった音だった。」


鬼龍「ぐああああ……」


ナレ「勇が膝をついていた場所に目をやると、足があった場所の床には……」


鬼龍「そ、そうか……衝撃を足元に逃がし……!」


勇「拳道越流!捻じり正拳!!」


鬼龍「グフッ……」


ナレ「勇の正拳が鬼龍に突き刺さり鬼龍がたたらをふむ。」


龍虎「決まった……」


鬼龍「なぜだ……なぜじじいも、龍虎も、爺の孫も貴様も……なぜそう……!」


勇「がふっ……」


楓「勇!」


SE:ドサ


鬼龍「ふっ、やはり完全には衝撃を殺しきれていなかったようだな……!」


勇「ち、ちくしょう……あと一歩だってのに……」


ナレ「その場にうつぶせに倒れた勇に鬼龍がジリジリとにじり寄る」


鬼龍「最後の最後で笑うのは俺だったようだ……」


勇「くっ……くそったれ……」


鬼龍「ふっクッ……ククッ……」


楓「勇!!!」


ナレ「鬼龍の前にたち構えをとる楓。」


楓「もう逃げない……!」


鬼龍「いい瞳になったな。どうする?俺を殺せば全員助かるぞ……」


楓「い、いいわ!!!やってやるわよ!!!」


勇「やめろ……楓……!」


ナレ「勇は左腕だけをなんとか動かし楓の足首をつかんだ。楓の足の震えがその腕に伝わる」


鬼龍「こい。憎いだろう?実の両親を奪ったこのオレが。祖父を貫いたこの拳が。」


楓「うっうう……!」


鬼龍「こい……!」


楓「殴りたい……!」


鬼龍「そうだ……!」


楓「ぶん殴ってやりたい!!!」


鬼龍「オレを殺せ……!!!」


楓「でも……アンタの好きになんて何一つさせてあげない!!!!」


鬼龍「……ふっ……そうか……やはり、爺の拳道越流か……」


ナレ「静かに鬼龍が自分の右腕を自分の首にあてがう。」


龍虎「ま、待て!!鬼龍!!」


鬼龍「さらばだ、龍虎」


SE:ダンッ


ホァン「鬼龍様!!!」


メリッサ「死なないで!!!」


ナレ「満身創痍で走ってきたホァンとメリッサが鬼龍に縋りつく。」


鬼龍「お、おまえたち……」


龍虎「鬼龍、お前はあの日から死に場所を求めてここまで来たのかもしれない。

だが……それでもお前のことを慕ってくれる弟子がいるじゃないか。

お前は取り返しのつかないことをした、それでも……まだやり直せるんじゃないか?」


鬼龍「……フン。何もやり直せるものか……だが……(間)フッ、この借りはいつか返す。ホァン、メリッサ。引き上げるぞ。」


龍虎「鬼龍……」


楓「う……私……もっと強くなりたい……!」


勇「いいんだ、楓。それでいいんだよ……俺たちは拳道越流の……龍虎師匠の弟子なんだから……だろ?」


楓「うん……」





鬼龍「これまでお前たちを俺の都合で連れまわした。これからは好きにしてもいいんだぞ」


メリッサ「好きに……じゃぁ、もうきまってマス。ね?ホァン」


ホァン「モチロン!鬼龍様、もっともっと鍛えてほしいヨ!身寄りのない僕たち救ってくれた、

僕たちにとって鬼龍様はシフ(師匠です)で、フーチン(お父さんです)アル!」


メリッサ「だから……」


鬼龍「あぁ。少し目が覚めた。ふっ、結局はじじいの思惑通りな気がして癪だが……

お前たち、今後は今までの比ではない地獄の鍛錬だぞ。二度とアイツらに負けないようにな……」


ホァン「あ、アイヤー……」


メリッサ「望むところデス!」




シーン2 病院

楓「勇~、お見舞いきたわよ。」


勇「楓、今日の食い物は!?」


楓「はい、肉まん10個と駅前の爆弾おにぎり5個と雷雷軒の餃子とからあげ。」


勇「きたきたこれこれ~~!病院食だけじゃたりなくてさ~~!」


楓「ねぇ、勇。」


勇「んむぐ?」(くってる)


楓「ほんとにありがとう。お父さんと私が無事だったのは……勇のおかげ。」


勇「むぐむぐももぐむぐも」


楓「あっ、うん!もちろん!秋光くんと浩一くんも!

でもね……えっと頼もしかったよ。助けにきてくれた時はほんとに……その……カッコヨカッタワヨ…」


勇「ゴクン……楓……」


SE:シャー(カーテン開くSE)


龍虎「おい、楓。お父さんにはなにかないのか?」


SE:シャー(カーテン開く音SE)


秋光「公共の場でいちゃついてんじゃねぇ。ったくなんで同じ病室なんだよ……」


浩一「ははは……あ、リンゴ向けたけど二宮さんも食べる?」


浩一(ナレ)「そう、龍虎さん、勇くん、秋光くんは重症だったので仲良く同じ病室で入院していたのでした。」

浩一(ナレ)「あの激しい戦いが嘘みたいな穏やかな日々で、僕も一安心です。」


勇「っにしても浩一!あの戦いは浩一がMVPかもな!」


楓「えぇ、だって朝5時から道場の近くにいたんでしょう?」


浩一「あ、あまりにも緊張して寝れなくて……迷わないように下見にいったんだ……

物陰に隠れて様子をうかがってたら楓さんが運ばれてきたときは本当に焦ったよ……」


龍虎「あの鬼龍を出し抜くなんて中々できることじゃない。そのおかげで私たちも全力が出せたんだからな。」


浩一「いやぁえへへ……」


勇「ってことで、浩一も秋光も晴れて拳道越流の三番弟子と四番弟子だな!」


浩一「え!?いや僕は武術はちょっと……!」


秋光「勝手にきめてんじゃねぇ…!うっ…」


浩一「あ、秋光くんだめだよ、そんな急に動いたら……」


勇「なんだ、違うのか?」


龍虎「はは、道場見学でも、用具を使う目的でもいつでも遊びにきてくれ。君たちは命の恩人だからな。」


秋光(それは…悪くねぇな。)ニヤ


楓「あ、そういえば2人にも差し入れもってきてるの!お父さんにはいつも読んでる本と、秋光くんはこれでしょ?」


秋光「こ、これはサンカクストア限定のプロテインマグナムじゃねぇか……!二宮なんでこれを……!」


楓「えへ~~内緒。」


秋光「素直に感謝させてもらう。」ゴグッゴグッ


浩一(こ、この2人だんだん秋光くんの扱いが上手くなってる気がするな……)


シーン3 暗転

浩一(ナレ)「そんなこんなで、勇くんたちの物語は一旦おしまいです。でもきっとまた」


勇「今日こそ免許皆伝だ!!!!いくぜ龍虎師匠!!!!」


浩一(ナレ)「大変なことに巻き込まれるきがするんだよなぁ」


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鉄魂ー声劇ト書きverー @unita01

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