第183話 風魔の待ち伏せ―2
海津城へは、真田郷から
話はいささか脇に
言うまでもなく、すべての街道の要所には、番所(関所)が設けられ、運ばれる荷駄には関銭と呼ばれる通行税が徴収される。戦国の世に真田氏が台頭したのは、これらの主要な街道筋を掌握できる要衝の地を拠点としていたことも、ひとつの要因といえよう。
さて、松代道をゆく幸村ら一行は、すでに入軽井沢を過ぎ、沼入沢の地へと差し掛かった。もうすぐ国ざかいの地蔵峠だ。この地蔵峠辺りは、昼なお
坂道を前へ前へと進む一行の頭上で、突如、遠雷が轟いた。
空を見上げれば、分厚い雲の中に閃光が走り、今度は近くで雷鳴が響いた。
その刹那――。
前方から空気を裂くような音がした。
咄嗟に、先頭をゆく幸村が馬上、身をかがめた。
その頭上を、ひと筋の矢が唸りをあげて走り過ぎた。
急峻な坂の上に、雨を
「賊だ。地蔵峠で待ち伏せしておる」
望月六郎がそう叫ぶや、さらに数本の矢が頭上から襲ってきた。
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