第156話 猿飛ノ佐助―2
「して、先代の佐助は、今どこに?」
「初代佐助は、
昌幸が戸隠山のある北方に目を
その刹那――。
背後で人影が動いたと思うや否や、昌幸の
「と、殿、大殿さま!」
佐江は驚愕し、絶叫した。
「誰か、誰かある!」
あらん限りの声で叫ぶや、佐江は
夢であった。
佐江の
ややあって、蔀戸の外から、
「姫さま、お呼びでござるか」
という声がした。
「佐助か」
「ハッ」
「残月を」
残月とは、佐江姫の愛馬であることは言うまでもない。
佐江は白小袖に紺無地の
佐助が残月を
半袴の腰には、
佐江が騎乗するや、残月は「ぶるるっ」と
「やっ!」
佐江は残月に赤い鞭を入れ、一気に上田城に向けて
上田城天守から昌幸が墜落した凶夢を見て、佐江の胸のうちには、鳥肌が立つほど忌まわしい予感と激しい胸騒ぎがしていた。
「大殿、なにとぞご無事であられませ」
佐江は鞭を入れ、残月の馬脚を
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