第45話 命、一途―3
佐江は寿老松のほうに歩を進めつつ、鷹笛をピユッと鳴らした。
すると、飛雪丸が空から舞い降り、佐江の肩にとまった。
古来、日本の
が、飛雪丸は、
そのため頼綱は、放鷹術を指導する際、非力な少女の佐江が鞢を使うのは「為しがたし」とみた。そこで、飛雪丸を佐江の肩にとまらせるよう調教したのであった。
ちなみに、放鷹術諏訪流の始祖といわれる根津氏は、平安の昔から代々伝説的な鷹匠を輩出しており、そのことから、この上田盆地周辺では諏訪流が広まっていた。
肩に飛雪丸を据えて、佐江は寿老松へと向かった。すると、いかなることか。寿老松まで後二町(約200メートル)余の距離まで歩み寄ったとき、鈴なりの果実のごときものが、枝々から一斉に離れ、敏捷な動きで地面に降りてくるではないか。
「やはり猿であったか」
と、思った刹那、佐江は驚愕した。
なんと、猿と
夜叉姫は切れ長の双眸を大きくみひらいて身構えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます