第4話 元服式―4
老将は、この日、
偉丈夫な
呑むほどに弁舌が冴える。
ひとしきり、近隣諸国の武将の性癖、逸話、戦功などを
ややあって、大きな眼球をくわっと剥き出し、
「皆の衆、この上田の城さえあれば、大軍といえども怖れるに足りず。上杉、北条、徳川などの敵が群がり、押し寄せようと、手玉にとってせようぞ」
と、盃を傾け、
派手な身形も、人を人とも思わぬ
このとき、頼綱65歳。
真田家当主・昌幸の叔父であり、真田郷の南にある矢沢城主でもある頼綱は、一軍を率いていまだ負け知らず。戦歴
並み居る一門衆はおろか、当主の昌幸すらも、この叔父にはまるっきり頭が上がらない。頼綱がいかなる大言壮語を吐こうとも、一同、
その頼綱が元服式を終えた幸村に向かって、鋭い眼光を放った。
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