第3話 エピローグ

 俺は、秋風に吹かれながら車椅子に乗っている。

 それを、押してくれるのは前世からの付き合い?のある音那と言う少女。

「もう、セミが鳴かないね。」

 音那は、優しく俺に言った。

「そうだな……」

 俺は小さく答える。

 俺の下半身が動くことはもうない。

 だけど生きる事が出来ている。

 死ぬかと思った。

 だけど、死ぬ瞬間に声が聞こえた気がしたんだ。

「奇跡は偶然には起きないけど、必然に起す事は出来るよ」

 そう言ったのは、音那ではない……

 幾那の声だった。

 その声はどこか優しく、どこか暖かかった。

「なぁ、結婚したら猫飼わないか?」

「そうだね。

 名前は、幾那にしようか?」

「ああ……」

 俺達は、あの後、その病室で婚約した。

 音那も、俺と同じように、幾那に夢を見せられていたらしい。

 だからなのか、音那は、俺が入院しているのにも関わらず、婚約届けに判を押した状態で俺に渡した。

 俺は、ためらいもなく、それにサインをした。

 それは、俺の意識が回復して、一日目のことだった。

 だって、そうだろう。

 なんたって、前世からの付き合い?なのだから……


 -おしまい-

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サクラヒト はらぺこおねこ。 @onekosan

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