レベル2…をやろうとしたら普通に放置して夏休み最終日まで来たのでどうにかそれっぽいものを即興で書こうとする回

 結局、踏み出すことが"俺"にもぼくにも必要なことでした。

 『走れメロス』とはかの文豪太宰治が書いた教科書にも載るほど有名な作品ですが、知らない方のために手短にまとめると『処刑寸前のメロスは妹の結婚式のために親友を担保とすることで猶予を得た。友情を信じられない王に見せつけるため、処刑刻限まで全力で走れ!』という内容です。

 そしてそのパロディである春海水亭さんの『メロスは激怒したが、俺も大概キレてる。』にはもう一人、今でいう無敵の人、"俺"がいます。王を殺しに来た"俺"はメロスと違い友がいません。そういう人生を生きてきました。避けられぬ処刑に怯えながらも、避けたところで庇護してくれる親を亡くした自分では生きていけるとは思えない。あてのない不安と恐怖。実は読んでいたぼくも強くそれを感じていました。

 コロナ禍による将来への不安。相次ぐデマによる社会への不信。遊べなくなった友人とは縁が薄れ、忙しい家族に相談する余裕もない。"俺"は不安を怒りとして誤魔化し、統治者である王にぶつけようとしていましたが、ぼくは"俺"に比べ子供だからこそ、何かを選ぶこともできずにただうずくまるだけ。そんな中で出会ったのが、この小説であり"俺"でした。

 ぼくにとって、"俺"は将来の自分であり現在の自分のように思えました。そんな"俺"が、メロスの親友との会話を機に、王の弱さと自分の弱さに向き合い、周囲の心情に寄り添うことで王を救い、親を弔うことで自分を救い、この物語は幸福に終わりました。それがとてもうれしく、道しるべのように感じました。

 ぼくは今、家の家事を担当することにして、また学校の勉強のほかに資格の勉強を始めました。少しずつでも前を向く。身近なところ、やるべきところをまず片付けることが、そしていつでも自分が誇れる自分であることが何より大事なのだと、『メロスは激怒したが、俺も大概キレてる。』に教わったからです。

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メロスは激怒し、俺も大概キレてたが、ぼくは読書感想文を書く。 おひたし @ohitashi

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