メロスは激怒し、俺も大概キレてたが、ぼくは読書感想文を書く。

おひたし

レベル1

 ぼくは『走れメロス』という作品が好きです。どれぐらい好きかというと、昔見たな~って記憶がうっすらとある特撮作品ぐらい好きです。名作なだけあり、小学校の頃初めて読んで、それ以来定期的に目にする機会があるからこそ、忘れることなく覚えています。なのでこの走れメロスのパロディ小説である、春海水亭さんの『メロスは激怒したが、俺も大概キレてる。』も見かけて気になり、気軽な気持ちで読んでみました。

 真剣に義のために王に激怒し挑みかかったメロスと、むしゃくしゃしていたので通り魔精神で王に挑んだ"俺"は、同時に捕らえられた。真剣に友人を人質にしたメロスと違い、真剣ではあるがノリがネットの悪ノリで友達も家族もいない"俺"はちょうど目の前にいた王を生贄に捧げようとするが当然断られ、セリヌンティウスと共に磔にされることとなる。一晩彼と語り合う中、一心に友を信じるセリヌンティウスに感化された"俺"だけが、メロスの持つ真の友情を見て己を恥じ自害しようとした王にかける言葉を持っていた。それはそれとしてネタが多い。そういう作品です。

 この作品の中で、セリヌンティウスは自分の行動を『友の前で格好つけたかった』

として語っています。しかしそれはネガティブなものではなく、もっとポジティブな、人が人らしく生きていくうえで大事なことなのです。家族に、友人に、知らない人に、己自身に、格好つける。過ぎれば己を滅ぼしてしまうとしても、無ければ己を成り立たせることすらできない。そういうものがこの世にあるのだと、そして誰も信じられず自他を獣としか思えない人間では、ただ自分の命を守ることだけを考える人間ではそうあれないからダメなのだと、この作品は教えてくれています。

 自分が死ぬ間際に、誰かが死ぬ直前に、誰もが格好つけられるとは限りません。それでも、そうなれる自分であれるように、普段から習慣づけを頑張ろうと思いました。

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