第4話 私の朝。

 あ…。


目を開けると、あの可愛いモビールが見えた。


「あれ……」


また空におちて、あの猫に会って、それで、えっと…? あれ、その後どうなったっけ。思い出せない。


事もなかった。

朝ご飯を食べていると、頭が起きてきて、夢の中を思い出す。あの猫…。


未練があーだこーだ言っといて、教えてもらってないし。てか、ちゃっかり私も起きちゃったし。今日の夜まで聞けないってこと…? あぁあ、こんなんじゃご飯食べるのも集中できない! 気になるところで終わらせないでよっ。


「渚白、手が止まってるわよ」


お母さんに言われる。三尾の猫のことを考えてた、と言えるわけもなく、適当に返事をして食パンを口に運ぶ。今日もいちごジャム。美味しい。


「それ、高級食パンよ。味わって食べてね」


「いつもと違うと思った。めっちゃ美味しい」


「そりゃそうよ」


ふっわふわの食感。甘酸っぱいいちごジャムと、ほんのりと甘い食パンがマッチ。噛むたびに幸せが生まれて、飲み込めば、それがお腹に。そこからほわっと、小さな幸せに包まれたような感覚になる。

おいしい。

なんか、生きてるんだな、と思う。


特に何も話すこともなく、テレビから流れるニュースを見る。殺人事件が起きたらしい。でも、何も思わない。自分に関係ない。私が、被害者で、殺されていたかもしれない。死んだら、何処へ行くんだろう。三尾の猫にも会えるのだろうか。別にどっちでもいいけど。

そろそろ時間なので、玄関にいって、靴を履く。

「今日は雨降るかもよー」

お母さんの声が、リビングから聞こえる。そういえば、さっきのニュースの天気予報で、午後に雨が降るとか言ってたっけ。

「はーい」

と、言いながら傘に手を伸ばす。


ーーガタッ


「あっ」

スマホが落ちた。

やばいやばい、、、。

急いでスマホを拾い上げる。画面から落ちてしまった。ちゃんとバッグに入れたのに。チャックが空いていたのかもしれない。

「…よかった」

画面には傷一つ無かった。


「いってきまーす」

「いってらっしゃい」


時刻は7時55分。余裕を持っていこう。


しばらく歩くと、大通りから住宅街に入る。ちょっと薄暗いが、昨日より暑さは増している。もうすでに汗をかき始める。背中のリュックが重くてムシムシして暑い。髪の毛はおでこに引っ付く。よく見ると後ろ髪は30センチくらいある。切ったらみんなにワイワイ言われたりするかな、楽しいだろうな、と思いながら登校。


「あっ、波月〜」


「お、渚白!」


「おはよー」


何気ない会話から始まる今日の学校。

そして何も無く1日が終わるはずだった。


昼休みから雨が降ってきた。

雨は帰る頃になるにつれ、激しく降ってくる。

傘持ってきた自分天才すぎ、と思いながら下駄箱に向かえば、自分の傘がなかった。よく考えてみたら、朝スマホを落とした時に傘の存在を忘れていたような気がする。


何してんだ自分。馬鹿の極み。

波月は既に帰ってしまったっぽい。と、いうか、私が学校の中を見て回って時間が遅くなったからだろうが。


走って帰るか。


そして外への一歩を踏み出した時。


「おいっ」


声がした。


「えっ、だ、誰?」


「はあ?」


声がした方向を見ると、男の子が立っていた。反射的に誰? と聞いてしまった。


「飛龍だよ、遊馬あすま飛龍ひりゅう!」


飛龍、、とりあえず君付けで読んでみよう。

「飛龍くん!」


「飛龍くんって何だよ、いっつもアホ飛龍とか言ってくるくせに」


「…アホ飛龍っ」


「言い直さんでいいわ」


「えへ…」


君付けじゃ無かったっぽい。アホ飛龍って結構な事言ってんね。。


「お前、傘は?」


「え、えーっと、、」


なんて言い訳しよう。飛龍の事あんまり覚えていないから変に話したくない。


「傘忘れたのか?」


「げっ」


「なんだ、図星かよ」


「その通りです、、」


えーっと、どうしよう。さっさと走って帰ればよかったな…。


「傘貸そっか?」


「え!いいの?」


「いらないんならサヨナラ〜」


「待って待って‼︎ 貸してください飛龍様〜」


「へいへい」


「ありがと〜!」


傘ゲット。こうしてめでたしめでたし、かと思いきや。


「おーい」


飛龍が傘を広げて待っている。これってもしかして…


「…相合傘?」


「なに?お前そんな事考えてんの?いやらしー」


「こんなん誰でも思うわアホ飛龍!」


何これ結構気まずい。飛龍とこんなに仲良かったっけ?


「帰らないの?」


「じゃあよろしくお願いします」


「んー」


何を喋ったか、あまり覚えていないが、緊張したことは覚えている。


今日は、今日も早く寝よう。三尾の猫に、未練のことを聞いてやらないと。…って、未練のこと、めっっちゃ気になってるじゃん、私!…





✄--------------- キ リ ト リ ---------------✄


 ☆作者より☆

おはこんにちこんばんは! はじめまして! お久しぶりです!

#にっく622です。 読んでいただいて、ありがとうございます♪

「空におちる。」いかがだったでしょうか?


 もし、面白そう! 続きが読みたい!

   渚白可愛い! 三尾の猫様って何者⁉︎

などと、思ってくだされば、☆&♡評価やフォロー、お願いします(^_-)-♡


 では、ばいにっく★


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