第3話 私の悪夢。

 「おやすみ」

「おやすみなさい」

お母さんと、娘のそっけない会話。

自分の部屋に入って、ベッドにダイブ。可愛いモビールを眺めて、ぼーっとする。


今日の朝のことが蘇る。三尾の猫の事を思い出そうとしたけれど、何故か、頭がぼーっとして思い出せない。頭にモヤがかかったみたいに。


でも、あの金色の目は、忘れない。宝石みたいな透明感があって、きらきらしてる。ずっと忘れられないって感じ。


もう10時。

ちょっとスマホを触ってみる。ちょっと机の中を漁る。ちょっとストレッチしてみる。ちょっと枕を殴る。色々してみたが、寝られない。目がぱっちり開いている。普段何時に寝てたっけ。10時だと早すぎる? でも早く寝て、早く忘れたい。モヤモヤする。ベッドに寝転がる。布団を顔までかぶる。目を閉じる。



あれ…


ここは…


空だ。

またおちている。


ふわふわするのか、痛いのか、びりびりするのか、分からない。


そんな……。夢だと信じてたのに。

いや、これも夢なんだ。私は疲れてる。


ーーードカッ


「う……」


「あ、来たの」


今度はうつ伏せでおちた。ちょっと鼻が痛い。鼻が潰れたかもと、思う暇もなく、頭の上から声が降ってきた。


「ここにきたっていう事は、未練を果たせなかったんだね」


「うぅ……み、未練…」


未練なんか言われても、そんなの知らない。覚えてない。悪夢だ。あの金色の目の視線を感じる。頭の上から。脳天に突き刺さる。ぐさぐさって。

私は、うつ伏せのまま、ぐだーっと力を抜いた。立ち上がるのがめんどくさい。このまま寝ちゃおうかな。どうせ夢だし。


「起きて」


「……」


「そのまま寝るの?」


「……」


瞼を閉じて、黙り続ける。そしたら終わるかも。この悪夢から抜け出せる。


「渚白」


「え…」


今、名前、呼ばれた。この猫に。え、名前知ってるの? え、何、どういうこと⁉︎ 思わず顔を上げた。


「え、私の名前…」


「が、どうしたの?」


「し、知ってるの?」


「もちろん」


「え、あ、そそうなんだ」


「…何、知らないとでも思ったの?」


「いや、その…」


逆に知ってたのかーいと、言いたくなる私であったが、あまりこの猫と会話をしたくない。家に帰りたい。いや、家のベッドにいるから帰っているのか。ゆっくり体を起こす。やっぱり鼻が痛い。


「あ、あの、とりあえず家に帰らせて欲しい」


夢の中ではここは家じゃないという前提で、はなしとく。


「とりあえずって、まだ何もはなしてないでしょ」


それは、そうだけど。

けど。なんなの。


「ねぇ、君は、どうしたいの?」


「……は?」


どうしたい…?


「…家に、帰りたい」


「……そうじゃなくて」


「は?」


そうじゃなくてって…。


「み、れ、ん。未練、ないの?」


「…だからその未練って何?」


「未練、覚えてないの?」


「だーかーらー」


「あー分かった。覚えてなんだね」


「まぁ、そんなとこなんじゃないでしょうか?」


適当に答えておく。それで猫がイライラして、もう帰れ! とか言ってくれたりして。


「そういえば、未練について、話してなかったね」


「それは聞いてませんね」


ああ、早く目覚めて。もう頭がパンクしそう。


「ねぇ、渚白、大丈夫だから。ゆっくり、落ち着いて、聞いてほしいの」


嫌だ、と言いたかったけど、言えなかった。あの金色の目に見つめられたから。掴んで離さない。


「大丈夫。渚白に分るように、ちゃんと説明するから」


「…うん」


うっかり頷いてしまった。

でも…なんだか、そこまで言われたら、気になってきた。







✄--------------- キ リ ト リ ---------------✄


 ☆作者より☆

おはこんにちこんばんは! はじめまして! お久しぶりです!

#にっく622です。 読んでいただいて、ありがとうございます♪

夏休みで遊びっぱなしで、投稿頻度がおちていてすみません。

「空におちる。」いかがだったでしょうか?


 もし、面白そう! 続きが読みたい!

   渚白可愛い! 三尾の猫様って何者⁉︎

などと、思ってくだされば、☆&♡評価やフォロー、お願いします(^_-)-♡


話が変わりますが、「ぷるす」さんの「転生したかったのはしたかったけど、こんなに弱いのは想定外なんですけど!?」という小説がおすすめです! リメイク版と、元祖版(?)がありますので、どちらも読んでみて下さい!


⬇︎リンクはこちらです⬇︎

(リメイク版です)

https://kakuyomu.jp/works/16817139557346390406

(元祖版です)

https://kakuyomu.jp/works/16817139556668223249

 では、ばいにっく★



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