龍のヒップホップ 🐲

龍のヒップホップ 🐲

　晩夏のあかつき、しらじらと明けそめた平野に白いビニールハウスが１０棟ほど。

　市街地にほど近い住宅街の一画の農地に、いかにも肩身が狭そうに並んでいます。

　早起きの鳥たちが小さな声で鳴き出した時刻、とつぜん大風が巻き起こりました。

　ひゅ～っ！　というすさまじい音とともに、１０頭の龍が大空へ舞い上がります。

　ルビー色になった白い身体は、東山の向こうの朝日を受け、茜色に縁どられます。

　ぽっぽっと、ちぎれ雲が浮かんだ大空を、龍たちは思う存分にくねりまわります。

　　　　　　🐉

　とそこへ軽快な音楽が聞こえて来ると、龍たちの舞いはヒップホップに早変わり。

　もともとクネクネしているので人間のように腰を振らなくていいのね。（笑）🕺

　　　　　🌞

　朝日がピカッと東山から顔を出すと、龍たちはあっという間にビニールハウスに。

　ほんの数分のパーティのギャラリーは朝顔、鶏頭、秋桜など季節の間（あわい）の花たち。

　そこへ軽トラでやって来たお百姓さんは、マサカヤ～（笑）の出来事に気づかず。

　こうしてわたしたちの知らないところで、知らない物語が紡がれているのですね。