第71話 剣道をやってみた

 ここ二ヶ月ほど、週に一、二回、剣道の練習をしています。10年ぶりに、ガチで。おじさんは身体が動かなくて大変です。辛い。


 理由は、カクヨムコンにエントリーしている時代小説の取材のため……ではありません(苦笑)。ちょっと言いたくないんで理由は謎ということにしときますが、どうせ剣道をするなら時代小説の取材にしないと嘘ですよね〜。


 もともとチャンバラシーンを描きたいがために書きはじめた時代小説でした。テレビや映画の時代劇って、チャンバラシーンが一番の見せ場じゃないですか。でも、時代小説って必ずしもそうじゃない。しっかりチャンバラが書けている時代小説が読みたくって、自分で書いてみたのが最初だったんです。


 中には我ながらうまく書けたと思うものもありますね。満足、満足。





 さて、現代の剣道が強い人が幕末に転生し、実際に刀を持って斬り合いをしたら強いのでしょうか? 


 わたしの思う答えは――

『強いかもしれないし、弱いかもしれない』


 今回、剣道の練習をするに当たってYouTubeで剣道の動画を色々とみたんですけど、一流の剣道選手の打突はすごいです。


https://youtu.be/YaTCsqLKh8o


 面打ちひとつ取っても、さまざまなフェイントから打ち込むバリエーションがあって、二段技、三段技は当たり前、試合になるとさらに複雑なフェイントを織り交ぜて相手から隙を引き出し、打ち込むのです。


 むかしはこういう解説動画がなく、指導者や練習環境によって剣道選手の試合の「上手」「下手」は大きな開きがあったと思います。いまの中高生剣士は絶対YouTubeで試合の動画とか見て研究するべきですね。とても役に立つと思います。


 話が脱線しました。


 一流の剣道選手は目にも止まらない速さで竹刀を操り、フェイントをかけ、打ち込むのですが、実際の刀は、竹刀のように長くないし軽くもないから刀を持った斬り合いと剣道の試合はまったく別モノと考えた方がいいです。竹刀は軽いから振り回せるし、振り回せるから多彩なフェイント技が発達したのだと思います。


 真剣勝負だとフェイント技はフェイントが効かず斬り込まれたときのリスクが大きいので、連続技より一撃必殺の刀法を採用する方が勝率は上がるように思います。刀が届くか届かないかの間合いで牽制し合い、相手の隙を見つけると、相手に斬られる前に斬り込む――という単純な戦い方です。


 現代剣道でも試合はともかく、六段、七段といった高段位の昇段審査では、真剣勝負に準じた刀法の巧拙が合否の基準となっているように思います。竹刀はあくまでも真剣の代用品であり、試合は真剣勝負のための鍛錬のひとつ――というのが、現代剣道修行のタテマエですから(普通の人は知らないけど)。


 わたしの小説で剣士たちはあまり刀を振り回さないのですが、その理由はそもそも振り回せることが強いこととは結びつかないから。本当に強い剣士というのは、数少ない相手の隙を確実に見つけ、勇気を持って斬り込める「目」と「度胸」をもった人だと思います。


 10年ぶりの剣道から取材した結果分かったことはこれくらいですかね〜。早くチャンバラシーン書きたいな。笑

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