第6話 声が届くまで
きのう、ヤフーニュースで
「TVが統一教会批判すると抗議殺到「電話対応はやめるべき」萎縮を防ぐための対策」
という記事を読み、思うところがあったのでここに書いておきます。
安倍晋三元首相が銃撃されて亡くなった事件を契機に、メディアでは統一教会(世界平和統一家庭連合)に対する批判が大嵐のように巻き起こっています。銃撃犯人が警察の取り調べに対して、母親が統一教会の活動にのめり込み家族が不幸になったことが犯行のきっかけだ、安倍元首相が統一教会と関係していると思い込み銃撃した――と供述したためです。
犯人の理屈は論外です。そんな理由で人を殺害することはできません。
ただ、統一教会に家族がめちゃくちゃにされたという犯人の言い分は、同情的に受け止められている人が多く、統一教会に対する反発が広がっています。
ヤフーニュースの内容を要約すると、
>統一教会に関連する情報をテレビのワイドショーなどで取り上げると、統一教会関係者とみられる視聴者から抗議の電話が殺到する。
>抗議の電話が殺到すると、結果的に統一教会以外の番組を制作しているチームに負担がかかるため、番組制作者には、抗議が殺到するような事態は避けなければ、という心理的圧力がに加わる。
>テレビ局は、旧態依然の視聴者苦情電話対応態勢を改めて、「ご意見・ご質問等はメールやSNSでお願いします」というのを基本的な対応してはどうか。
という内容でした。
ヤフーニュースのコメント欄では、「統一教会関係者による組織的な抗議活動に対して、いちいち電話対応する必要はない」という意見がほとんど。テレビ局は電話対応をやめよという記事の内容には好意的でした。
わたしは「え? ちょっと待ってください」と思いまして……。
いま電話による企業の問い合わせ窓口って自動応答がほとんどじゃないですか。わたしも携帯電話の不調で携帯電話会社の問い合わせ窓口に電話したとこがありますが、自動応答で始末がつくくらいなら電話しませんよね。
チャット対応もしてもらったことがありますが、文字だけでは自分のとても困っている状況や焦っている感覚、気持ちの十分の一だって伝えることはできませんよ。
悪意をもって組織的に電話をかけまくるような人たちが迷惑なのはよく分かりますし、けしからんと思います。でも、テレビ局に電話をかける人は、そういう人たちばかりじゃないし、組織的な電話作戦は一過性のものでしょう。電話対応はやめるべきでないと思うな。
メールとか自動応答は、聞き取る値打ちがあるかどうかを受け取る側で取捨選別しているのです。ある人がAさんとBさんから話しかけられたとして、お気に入りのAさんとだけ話をするとBさんは不愉快ですよね。あとでフォローするでしょう。自動応答にフォローはありません、わたしたちは不愉快なままです。
ヤフーニュースの記事は、テレビ局に不愉快な会社になれと勧めているのと同じなのです。
電話対応は、視聴者の「生の声」を聴けるいいしくみだと思います。自動音声で門前払いしたり、メールの文字情報から受け取る視聴者の声は、すでに鮮度を失っていると考えた方がいいと思います。
110番通報や119番通報が自動応答化されたらどうなるか想像してみてください。ドロボウに入られたとか、うちが火事で燃えているとか――自動応答で納得できますか? 「生の声」でしかやりとりできないものが、あるはずです。
人が人に届けようとするものは「声」なんですよ。
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