第4話 すぐそばにある異世界

 異世界が好きです。


 わたしが物心ついた頃は、SFブーム・オカルトブームがこの国を席巻していました。小松左京の『日本沈没』の出版が1973年。オカルトブームのさきがけとなった『ノストラダムスの大予言』も同じ年に出版され、ともに大ベストセラーになっていたのです。わたしは(わたしに限らずいまの40代後半から50代の人は)SF・オカルトブームの強い影響を受けながら成長しています。


 SF・オカルトの特徴は、それが現実とは切り離された物語だということです。日本列島が海に沈んだり、空から「恐怖の大王」が降ってくる……などということはあり得ません。でも、それを「もしかしたらそんなことあるのかな」と感じてしまう人たちがこのころから増え始めます。そこにあるのは物質的には豊かでありながら、その現実に窮屈で飽き飽きした思いを抱いている現代人の姿です。


 80年代半ばに、この国はさらに豊かになり、コンピューター(パソコン)の価格が下がって、ホビーパソコンという趣味で使うためのコンピューターが一般家庭で購入できるようになると、コンピューターRPGというゲームがパソコンユーザーの間で大流行します。『ウィザードリィ』や『ハイドライド』、『ザナドゥ』といったコンピューターゲームで、これらコンピューターRPGの舞台となっていたのが、中世ヨーロッパ世界に似た「異世界」でした。


 コンピューターRPGから発展してきた異世界ファンタジーは魅力的ですよね。


 いまはもうRPGで遊びたいとは思わなくなりましたが(老化現象か!)、いつも忙しくて人間味のない現実にはうんざりしてて、非日常の世界に浸りたくなるのはよーく分かります。ゲームする代わりに小説を書いているだけです。中身は変わってないです。



 このあいだドライブで岡山へ行ってきました。

 夏休みなのに、家にこもっているのは嫌だって息子がいうので。岡山なら隣の県だし、日帰りでちょうどいいなと思って、小学生の旅行先として渋いかもしれませんが、岡山後楽園を目的地にチョイス。クルマを運転して出かけたのです。


 岡山後楽園(後楽園)は、岡山藩主・池田綱政によって造営された大名庭園で、日本三名園のひとつとして有名です。いままで行ったことなかったんですけど、広くてとてもきれいに整備されている庭園です。わたしは兵庫県民なので、姫路城が地元なんですけど、お城はともかく、整備された庭園としては後楽園の方が数倍優れてます。岡山の人たちが後楽園を大切にしているんだなというのがすごく伝わってきます。とてもいいところです。


 ちょっと脱線しました。異世界の話でした。

 じつは岡山で異世界に会ったんですよ。


 岡山市内には、いまでは珍しい路面電車が走っています。

 わたしの生活圏に路面電車ってないので、走ってる路面電車を見てめちゃテンションあがりました。「すげー」って。信号機も路面電車の用に信号機があるし……あれどうやって見ていいのかわからない。交差点で前から路面電車がやってきたら、どうやって右折するんだろう。道路のまんなかに停留所があるよ、路面電車乗ってみたいなあ……などなど。クルマを運転しながらはしゃいでいました(アブない……!)。


 それくらい路面電車って、わたしにとっては非日常に属するものでした。一気に異世界へ連れていかれた感じでしたね。めちゃよかった、走ってる路面電車。乗ってみたいなあ……。


 以上、身近にあった異世界の話でした~(汗

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