第48話 鳳仙との出会い
良宣は何も無い真っ白な空間に居た。
ここは何処だろう。
確か魔人と戦っていたはず。
しばらくすると狩衣を着た若い男が現れた。
「やあ、良宣君」
その男性は和かに声を掛けてきた。
「あなたは・・・」
「そうだ、まだ名乗ってなかったね。僕の名は‘’玖珂鳳仙‘’。君のご先祖様だよ」
「エッ・・・ご先祖様・・・と言う事は、自分は死んだのですか・・・」
「ハハハ・・・死んでないよ。霊力を使いすぎて気を失っているだけさ」
自分が死んでおらず、生きていると聞いてホッとした。
「君の両親がよく使い、君も使う‘’聖炎滅魔‘’と‘’睡蓮の陣‘’は僕が作り出した術なんだよ」
「エッ〜〜〜」
‘’聖炎滅魔‘’と‘’睡蓮の陣‘’を作り出した。つまり500年ほど前の実在の人物で玖珂家の大天才と呼ばれている人物じゃん。
「そ・・それで、ここは一体・・・」
「色々説明をしておく必要があると思って、君の魂一時的に私の霊空間に呼んだんだよ」
「説明?・・・霊空間?」
「何から説明しようか・・・まず、‘’聖炎滅魔‘’と‘’睡蓮の陣‘’は玖珂家流陰陽術の奥義では無い」
「エ〜」
あんなに苦労したのに奥義では無いなんてどうなってるんだ。
「この2つはある程度の才能があれば努力次第で習得できる。努力次第とは言ったが相当の修練が必要だけどね。‘’聖炎滅魔‘’と‘’睡蓮の陣‘’は2つとも出来て初めてその先に進む資格を得ることができるのさ」
「・・・その先?・・・」
「そう!その先があるのさ」
「爺ちゃん、婆ちゃん、両親も‘’聖炎滅魔‘’と‘’睡蓮の陣‘’が玖珂家の奥義だと」
「それは、僕があえて文献や口伝を含めて残さなかったからさ。資格の無いものが扱えば術者自身を滅ぼし、周囲を滅ぼす術でもあるからなんだ」
「文献や口伝で残されてないなら伝承できないのでは・・・」
「そこはいまの良宣君の様に、‘’聖炎滅魔‘’と‘’睡蓮の陣‘’を両方使える者が現れたら魂を呼び、僕が直接指導するつもりだったんだが、500年間誰もいなかったんだよ」
鳳仙は少し寂しそうな表情をしていた。
「それはどんな術なんですか」
「一つは良宣君が無意識に発動させて魔人を倒しているよ」
「・・・???・・何も覚えていませんけど、それにそのような修行はしてませんが・・・」
「‘’聖炎滅魔‘’と‘’睡蓮の陣‘’の2つを習得すると神から4つの球が知らないうちに授かるのさ。その4つの球がそれぞれの奥義とも言える術の鍵とも言える」
「スマホのアプリみたいなものですか」
「・・・アプリね・・・この時代らしいな・・・まぁ間違いではないな」
「その球さえあれば術は使えると言う事ですか」
「本当はそれだけじゃ無理なんだよ。ちゃんと使いかとを覚えないとね。魔人との戦いの時は僕が少しだけ手を貸したから使えたのさ。良宣君が授かっている4つの球は
赤色の球は‘’神炎天帰‘’、略して‘’神炎‘’
水色の球は‘’神海絶無‘’、略して‘’神海‘’
緑色の球は‘’風神雷神‘’、略して‘’風雷‘’
紫色の球は‘’天空神羅‘’、略して‘’天神‘’
このうち、良宣君が魔人との戦いに使ったのは‘’神炎天帰‘’。
無色透明で匂いも無い、何かを燃やさない限り熱も発しない。知覚不能な炎。無色透明な炎がありとあらゆるものを焼き尽くし消滅させる。それが‘’神炎天帰‘’」
「神炎天帰・・・後の3つは・・・」
「それは、またのお楽しみさ。そろそろここに呼ぶことも限界みたいだ。修行できるまでに回復したらまた呼ぶよ」
「・・・回復?・・・」
「あっ・・・言い忘れてた。目が覚めると無理矢理‘’神炎天帰‘’を使った反動で全身がメチャクチャ痛いと思うからね。しっかり治すんだよ。じゃあね!」
言うだけ言うと鳳仙は消えていき、全身に激痛が走った。
霊仙三蔵は陰陽師となる 大寿見真鳳 @o-masa
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