第7話逮捕


窓から差し込む月明かりが綺麗だ。

しかし、その窓は鉄格子である。

硬い石畳みの上に手錠で繋がれて俺は動けない……

藁が大量に積まれた寝床はなんだか変な匂いがする。

どうしてこうなったんだろうか……

そう思いながら昨日の夜のことを振り返る……




使者に説明をして宿に着いた俺は、あまりの疲労感にベットに倒れ込んでしまった。

そしてそのまま眠りにつき……


気がついたら昼になっていた。


「ああ……寝過ぎたな」


いつもならマヒロに起こされていたはずなのだが……

今日はいないのでゆっくり自力で起き上がる。

起きて着替えるとこれから何をするか考える。


「……飯食うか」


いつもなら母がご飯を作ってくれているのだが……

今日はいないので自分で用意するしかない。

お腹いっぱいになるまで食べたらまた何をするか考える。



「……筋トレでもするか」


いつもなら父さんが剣術に付き合ってくれたのだが……

今日はいないので体を鍛えるしかない。

暫く部屋で筋トレをしていたら宿の扉の向こうから声が聞こえてきた。


「ソラよ、我らは騎士団である。この扉を開けよ」


「ああ、はい」


昨日の操作が終わったのだろうか?

そして俺に話を聞きにきたってとこだろう。

出来る限りの情報を伝えよう。たいした情報は持っていないが……

いつか魔王軍を勇者達に倒して貰うのだ。

その為には協力は惜しまない。


そう思いながら扉を開ける。


「ソラ、貴様には現在聖女、及びその両親の殺人の罪の疑いがかかっている。同行してもらおうか」


「は?……え、いや俺………」


「とぼけるな!魔王軍が我等騎士団の目を欺いて街に入ってくる事など出来るはずもなかろうが!!ともなれば、状況的に兄である貴様が殺したのだ!傷跡からも剣を使ったことが分かる……大方剣士であった貴様は妹に嫉妬して犯行に及んだと言った所か?浅はかな奴め。大体死体を勝手に遺棄したと言う事はそう言うことなのだろう?」


こうして弁明すらさせてもらえず俺は逮捕された。


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男の俺が大聖女だった件 @shimanekoshippo

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