第17話 青空教室と測定と

仕切り直して、そこからユリアナさんによる指導が始まった。

青空教室というやつだ。

雲ひとつない気持ちの良い空間で座学が始まる。

隣では消火された大地が今なお煙を上げているが、気にしないでおこう。

張り切ったユリアナさんが、基礎的な魔法理論を僕に教えてくれている。


魔法は、各属性初級に始まり、中級・上級、更に超級とレベルが上がる。

しかしながら、今挙げたレベルについてはあくまで一般的な魔法の指標であり、込める魔力の量や、イメージの綿密さ等、術者各々がアレンジを加えることでオリジナリティが生まれ、より上位の魔法に昇華することもある。

逆もまた然りだ。

イメージを曖昧にしか思い描くことができていない状態や、込める魔力が少なすぎた場合、発動ができない。良くて具現化はするが、威力や範囲などは一定の水準を大きく下回ることが多い。

その為、多くの魔法士はアレンジに頓挫している。


基本的に魔法を扱う者は、アレンジを加える前の魔法を一定のレベルまで自在に操ることを優先し、その後アレンジを加えたりをするそうだ。


また、魔法の等級は自称することもある。が、一般的には魔法の学術機関が定める一定の水準があり、それを満たすことで公的な書類や場での記載・発表が可能だ。

その正式な評価テスト等はギルドなどで気軽に受けることが可能で、魔法士の能力判別に貢献している。


ギルドについては追々とのことだが、魔法使い集う魔法士ギルドと冒険者が集う冒険者ギルドが世界的に規模が大きく各国に拠点があるそう。

なお、この魔法士ギルドは研究機関としての意味合いが強い。

日夜研究と検証を重ね、日々の生活水準向上に役立っている機関だそうな。


話を戻そう。

世の中には多数の属性があり、その内の幾つかを紹介してもらった。

具体的なイメージをということで、ユリアナさんは手のひらサイズに落とし込んだ球体の魔法を浮遊させて僕に教えてくれた。


メラメラと陽炎を纏う赤色の球体

辺りに穏やかな風を巻き起こす緑色の球体

パチパチと電気を纏う黄色の球体

他にも水や土・闇・光といった属性があり、これらは基礎属性と纏められる。

少数だが重力や氷など、基礎魔法の枠に囚われない特殊属性が存在している。


ちなみにメアリーさんというと、最初の10分程度の間、怖い目で監視するようにユリアナさんを見ていた。

問題ないと判断したのか途中で元の業務に戻ったようだ。


「さて、まずはカイちゃんの身体に宿っている魔力について、認識できるようにならないといけませんね」

そう言ったユリアナさんは、どこからかボーリング玉くらいのサイズもある水晶玉を取り出し、机の上に置いた。


これが測定器というやつか・・・?

さっきから胸の動悸が収まらない。ワクワクしすぎてどうにかなりそうだ。

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