第19話 会いたい…〜ずっと傍に〜
花火も終わり、静けさだけが残る。
「………………」
「電源が入っていないため…」
俺は何度もかけた。
結果、繋がらない。
同じアナウンスを嫌という程、聞く。
「…友…霞…」
悪い方には考えたくない
だけど……
色々な不安が過る中
愛する人を探す
カラン
足元に何かが当たった。
「…………………」
「友霞…!?」
一瞬、脳裏に嫌な事が過る。
嫌なドキドキ感をしながら恐怖感と緊張感が走る。
携帯で明かりを照らすも、俺の視界に入って来たのは下駄のみだ。
「下駄…?」
それ以外、何も見当たらない。
「…………………」
俺は、一か八か彼女の名前を呼ぶ。
「友霞…?友霞…!?いるのか?」
ドキン…
「祐哉…?」
「友霞、いるなら返事してくんねーか?」
「…祐哉…なの…?」
「友霞!頼むから出て来てくんねーか?無事なのか?何もされな…」
私は姿を現す。
「友霞…?」
「…遅いよ……祐哉……花火…とっくに終わっちゃったよ……」
「…ごめん…約束…」
「…本当だよ…」
歩み寄る祐哉。
「来ないでっ!」
「…えっ…?友霞…」
「…今年こそはって…そう思っていたのに……人生で一番、史上最低最悪の花火だったよ…!」
「…友霞…ごめん…一緒に見れなくて…そうだよな…約束しといて、怖い目に遭って…本当に…マジ…ごめん…」
「………………」
「だけど…祐哉は…来てくれた…花火が終わっても…待っていてほしいって…言われてたから…半信半疑の中、本当は来ないんじゃないか…って思ったりもして…不安が過ぎって…」
「…友霞…」
「…祐哉…ありがとう…来てくれて…」
「えっ?」
「帰ろう…その前に携帯見つけなきゃ…」
私は、下駄を履く。
「祐哉、明かり照らし…」
キスされた。
すぐに唇が離れると、再びキスで唇が塞がれ、何度も何度もキスをされ、深いキスもされた。
「祐哉…」
吐息が洩れ抱きしめられる。
「…その反応反則…キスだけじゃ止まらなくなる…」
「えっ…?…バカ…」
「ゴメンっ!!友霞っ!!」
「全部ひっくるめて許す。だけど、本当怖かったし危なかったんだからね!何とか逃げられたから良かったけど…ほらっ!携帯探すの手伝って!」
「はーい」
私達は携帯を探す。
そして、何とか見付け出す事が出来た。
私は電源を入れる。
着信履歴がある。
全て祐哉からだ。
相当心配しただろうと思われる。
そして、焦りと不安があったんだろうな~って…
祐哉の姿が思い浮かぶ。
「祐哉…」
「何?」
「ううん…何でもない。ありがとう。帰ろうか」
「…ああ」
私は携帯をしまい始める。
♪♪〜
『今日は本当にゴメン』
『だけど、俺のワガママ聞いてほしい』
祐哉からメールが届く。
♪〜
『何?』
♪♪〜
『花火が一緒に見れなかった分』
『友霞と、一緒の時間を過ごしたい』
『泊まってほしい』
♪〜
『分かった。じゃあ、仕方なく、泊まってあげる』
私は祐哉の手を掴む。
「仕方なくって……」
ちょっとイジケ気味の祐哉。
クスクス笑う私。
「だって、こんなはずじゃなかったし」
「…それは俺だって…でも…こんな出来事なくても俺は…今日…」
「何?」
「…いや…何でもねー!」
「…祐哉?ねえ…別れ話とか辞めてよ…」
「別れ話?そんな事するわけねーじゃん!俺は、友霞が大好きなんだから!」
ドキッ
「さ、流石…どストレートだね?こっちが恥ずかしくなるよ…」
「好きな人に好きと言って何処がいけねーんだよ!」
「それは…そうだけど…でも…別れ話なんてされたら私、もう二度と恋したくないと思うかも……」
「えっ…?」
「花火大会の日、別れ話だったり、ドタキャンだったりで良い思い出ないから…だから今日も凄い不安だったんだ……」
「………………」
「…友霞…そうだったんだ…」
「うん…」
「なあ…友霞…もう一つ増やしていい?」
「何を?」
「俺のワガママ…」
「ワガママ?聞けるワガママなら聞くけど…」
足を止める祐哉。
グイッと引き寄せると抱きしめる。
ドキン…
「えっ…?」
祐哉は、耳元で囁く。
【友霞の全て俺のものにして独り占めしていい?】
抱きしめた体を離すと
至近距離で視線がぶつかり見つめ合う私達。
「………………」
つまりそれって……
私は目をそらし、スッと離れ背を向けた。
すると、フワリと背後から抱きしめられた。
「無理強いはしないけど…」
祐哉は、スッと離れ、私の手を掴み、恋人繋ぎをした。
時折、会話をするも、私は緊張している中、平静ぶりで過ごす。
祐哉の部屋に行き
「浴衣、着替えてゆっくりすれば?着替え出しておくからシャワー済ませてきな」
「あ、うん…ありがとう」
「浴衣、一人で大丈夫?」
「うん…大丈夫…あっ…でも…少し手伝ってて欲しいかな?」
「了解」
「ありがとう。後は大丈……」
キスをする祐哉。
「ごゆっくりどうぞ」
「うん…」
私は、バスルームに行く。
そして入れ替わりで祐哉がバスルームに行き、私は、祐哉の部屋に待機していた。
しばらくして戻って来る祐哉。
祐哉は私の隣に腰を降ろす。
胸がドキドキ加速する中、平静さを保つ。
「俺、今日、マジで焦った!」
「えっ?」
「ヤバイ状況の会話聞こえた状態で携帯切られるし!」
「あ〜連絡、結構入っていたから、心配や焦りがあったんだろうな〜って思った」
「マジ寿命縮んだ!友霞は怖い思いしたけど無事だったから良かったけど…」
「…祐哉…」
私は祐哉の両頬を優しく包み込むように触れる。
そんな私の片頬の手を掴むと、グイッと掴み祐哉はキスをした。
一旦、唇が離れると再びキスをし深いキスをされた。
「…友霞…」
「…何?」
「…いや…」
離れ始める祐哉を引き止めキスする。
祐哉の首に手を回す。
「…友霞…ま、待って…つーか…俺が心の準備出来てねーんだけど…」
「独り占めしたいって言ってたのに?大人の色気についていけない?」
「…友霞〜〜…」
祐哉の困った顔が愛しく見える。
いつもの祐哉から想像つかない。
「クスクス…祐哉、年上と付き合ってたんでしょう?なんか意外なんだけど」
「それは…」
「分かった。じゃあ、祐哉の心の準備が出来たらね」
「そんな準備してたら逃す」
「でも、準備が必要なんでしょう?」
「………………」
フワリと抱きかかえると、ベッドに乗せ股がった。
ドキン
「本気で好きだから勇気いるんだよ!友霞が大事だから…色々と考えるから…」
ドキン
再び胸が大きく跳ねる。
「…祐哉…」
私は祐哉の首に手を回す。
「大丈夫。嫌いになんかならないから。最初で最後の恋人なら…きっと大丈夫!チャンスはいつでもあるかもしれないけど…今、1つになろう…祐哉…」
「…友霞…」
祐哉を抱き寄せるようにすると、祐哉は私の肩に顔を埋めた。
「違う意味で、お互い初めてだから。怖くて不安があるんだよ」
私達は見つめ合い、キスをする。
「友霞…」
「祐哉…」
再びキスをし、角度を変え何度も何度もキスを繰り返す中、時折、深いキスをする。
まるで私達は愛を確かめ合うように――――
気付けば私達は、お互い身体を委ねるように1つになっていた。
朝―――――
目を覚ます私。
隣には私の愛する人が眠っている。
私は、祐哉に触れようと手をのばす。
「………………」
ドキン…
「…えっ…これ……」
私の左手の薬指にキラリと光るものがあった。
「…おはよう…」
「…おはよう…祐哉…」
「友霞…?えっ!?」
ドサッ
ベッドから落ちる祐哉。
「って〜…」
「大丈夫…?」
「ああ…うん…何か幸せ過ぎて…夢見てんのかと…」
「現実だよ」
「要約、恋が実った感あるから…」
「祐哉…そっか…」
祐哉はベッドに乗ってくると私にキスをした。
「…祐哉…」
「何…?」
「…コレ…」
おそるおそる左手を見せる。
「あー、あげる!」
「えっ?あ、あげる…?」
「ていう言い方は違うか…俺と結婚前提で付き合って!つーか…結婚しよう!」
ドキッ
「えっ?」
「まあ、まだ正式まではいかねーかもしんねーけど…必ず幸せにするから!一先ず結婚前で」
「祐哉…」
「昨日、あんな事があったんだ!…一気に俺、あんたの事、マジ離したくねーって…だから関係持つのも何処抵抗あって…友霞…俺の傍にずっといてほしい…昨日、本当は、勝負してて…」
「…祐哉…ありがとう!でも、本当に良いの?私、28だし、すぐに30歳になって…おばさんになって嫌気さしてくるかもしれないよ。それでも…」
祐哉はキスをした。
「何歳になっても、どれだけ歳をとっても、ずっと愛し続けるから!永遠に…」
「…祐哉…」
「ある意味、長年の片想いが、要約、実ったんだし!」
私は祐哉にキスをした。
「幸せにしてね♪祐哉!」
「もちろん!」
私達はキスを交わし何度も何度もキスをした。
〜 Fin 〜
ご愛読ありがとうございました☆彡
恋は花火 〜 夜空に輝く華のように 〜 ハル @haru4649
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