これはまさにそんな物語です。
恋を知らないまま16歳になった主人公の少女は、親の都合で結婚が決まってしまいます。
相手のことは好きでもなんでもありません。
ただ義務として、自分の人生を捧げなければなりません。
そんな嫁ぎ先への旅の途中で、彼女はとあるイケメン軍人と出合ってしまいます。
恋が始まってしまうんですね。初めての恋です。
でも、彼女はこれから嫁ぐ身。あまりにも残酷な恋でした。
本物の恋を知ったその時にはもう、永遠にそれと決別しなければならないことが決まってしまったからです。
これ、不思議なんですよ。
普通なら可愛そうすぎてみてらんないストーリーではあるんです。
それでも私は最後まで読んだとき、彼女がけして不幸ではないと感じてしまった。
絶望に直面しても膝を屈するのではなく、なおも憧れを追い続ける。
そんな主人公の強さから感じるものはたしかに、希望、でした。