第1話 普通の朝

『人類の皆様、おはようございます。直ちに起床し、行動を開始してください。繰り返します…』

外からいつも通り機械音声が聞こえてきた。


また退屈が幕を開けた。

いつも通り顔を洗い、いつも通り朝食を食べ、いつも通り着替えを済ます。


ピンポーン

と、ここで呼び鈴が鳴る、いつも通り。

行ってきます、とだけ親に声をかけて僕は扉を開けた。


「おはよう、遠井くん。今日も眠そうね」

「おはようございます、遠井先輩。」


彼女たちは幼馴染の小枝姉妹。

姉が小枝芽白で妹が小枝冷菜だ。

隣に住んでいて毎朝一緒に登校している。


「二人ともおはよう。芽白、お前の方こそ髪の毛とんでるぞ。」

「…いやねぇ〜これはファッションなの。後で直ってるかもしれないけどあくまでファッションなの。いい?」

「…さいですか」

「…さいよ」

「お二人がた、夫婦漫才はそれほどにしてください。急がないと今日も遅刻しますよ。」

「「誰が夫婦だ!!」」


と、これが僕のいつもの朝であり、至って普通の日常だった。ちなみにこの日も遅刻した。




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