第7話 中国人・ドイツ人・日本人という濃い血

 ◎ 中国人・ドイツ人・日本人という濃い血に共通する、(マニュアル不要の)問題解決能力


  40年前の日本、朝の中央線のラッシュアワー時。

  一番前の車両に乗った時のことです。

  電車が駅を発車した時から、運転席のATM(列車自動制御装置)はピンポン・ピンポン鳴りっ放し。次の駅の手前100メーターくらいでゆっくりと停止すると、運転席の窓からは、駅のホームに停まっている先行の電車が見える。そして、その電車の最後尾がホームから離れるのとほぼ同時に、私の載る電車がホームに滑り込む。

  当時は、それくらい電車の間隔を詰めないと、駅のホームに人が溢れて転落する、なんてことが起きかねないほど、利用客がたくさんいたのです。

  ですから、国鉄の司令室も、駅員も、電車の運転手も、そんな運行は危険であり、法律違反であることを十分承知しながら、マニュアルを無視し、自分たち人間の持つ理性と知性による「手作業」によって、現実の問題に対処したのです。

 当時、ドイツでも「時刻表通りに列車を運行したら、あちこちで電車の正面衝突が発生する」といわれながら、そんな事故は起こりませんでした。ドイツ人の理性と機転で、毎日の過密ダイヤによる危機を乗り越えていたのです。


 (ちなみに、私たちが「大学日本拳法」で鍛えたのは、そういう理性や機転という、危機管理のための素養なのです。)


  ユダヤ人に侵(おか)されるドイツ人、ユダヤ人と韓国人によって貶(おとし)められる日本人、ユダヤ人と台湾客家によって「どらえもん」のジャイアンに模される中国人。

  この三カ国のうち、中国には数千年来の濃い血にしみ込んだ中国人の強力な属性と中国古典という優れた経典(聖書)がある。ドイツ人にも、濃厚なゲルマン人の血とカントの「純粋理性批判」がある。

  さて、日本人の場合、10万年前からの濃い血では一番なのですが、この血を意識化するためのバイブルがないのが弱み。そこで、明治時代以降、世界中の古典・良書を読み漁る(翻訳しまくる)。

  デュマの「三銃士」 → 原本は「ダルタニヤン物語」全7巻を仏語以外で読めるのは日本だけ。ドストエフスキーの「カラマゾフの兄弟」の翻訳が5つもあるのは日本だけ。特に、中国語の古典に関しては、中国以上に、一般人が読めるような文章に翻訳している本が多く出版されているのではないでしょうか。


  しかし、いくら探しても、日本人の濃い血にぴったりのバイブルが見つからない以上、ここはやはり、江戸時代までのやり方通り、中国古典を聖書として学ぶのが一番なのですが、2022年4月から、高校における漢文の授業は廃止されてしまい、従来からあった梯子(はしご)を外されてしまいました。

  現在の日本の支配層である在日韓国人にとっては、「日本人を自分たちと同じレベルのバカにする」作戦上、日本と中国との接点は少しでも断ち切りたい、ということでしょう。


  さて、こうなれば、死ぬほど暇で無用の置物(生き物)とバカにされてきた、仏教界の落ちこぼれ「禅坊主」が、彼らの売り物である「無」という、頭の中の広大な空き領域を使い、やはり無用の長物である広い場所(寺の本堂)を有効活用し、中国の古典をじっくりと地元の方々に広めることで、ようやく、その汚名を挽回する時を得た、といえるのです。

 現在、かろうじてブックオフ等で100円で手に入る貴重な中国古典の数々、或いは商業主義の波に飲まれて図書館本来の義務を放棄し、くだらない新刊書ばかり購入する公立図書館の廃棄した中国古典書籍を集め、何の役にも立たないと陰口を叩かれてきた禅寺の本堂にずらりと並べ、24時間オープンの古典図書館にする。どうせ禅坊主など、落ち葉の掃除くらいしか実質やることがないのですから、私設図書館司書・解説員・掃除人として、その空虚で無意味な禅坊主としての人生の一部を、現実に生きている人間のための供養にする。漸く、人間として生かさせてもらえる機会をエタ、といえるでしょう。

  もちろん、中国古典をただ読むだけでは色気がない。

  いま現在、中国社会に発生するさまざまな政治・経済・社会・文化といった諸問題を、中国の古典によって如何に中国人が解決しているかを、人民網日本語版で確認し、そこから、私たち日本人の問題解決に中国古典を再利用するのです。

「聖書」や「コーラン」のような、ひとまとまりのバイブルではなく、中国古典の中から、日本人一人ひとりが自分のバイブルを抽出する。

 日本人(縄文人)のような、濃い血であればこそできる「中国古典の縄文人向けバイブル化」です。


 2022年7月22日

 V3.1

 平栗雅人

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人民網日本語版に見る中国人とフォーカス台湾に見る台湾客家人 @MasatoHiraguri

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