第22話 別れ



一条寺紗羅、桂川真琴、桜元佳乃、朝倉水穂の4人が

モールと一緒に連邦へ行く決心をした。


「西城と京塚は一緒だと思ってたんだけどな」と桂川さん。


「全てを知ってしまうと探求が出来ないじゃないですか」と西城さんが笑う。


「私も日本で面白そうな物を見つけてね」と京塚さん


「私はケガで諦めていた事をするつもりだよ」富岡さん


「私はモールさんの記者会見をみてマスコミが面白そうに見えたから、

そっち方面に進もうかなと思ってる」島本


「私も日本に残ります」瑞野さん


「私は教師ですから、日本でこの子達を守ります」佐倉先生


みんなの意見が出そろったようだ。


一条寺さんがニッコリ微笑みながら

「ちゃんと橘真一郎さんと別れたく無いからと言って良いんですよ、凛ちゃん」

ああ、瑞野さんの顔が真っ赤になっている珍しいな。


「それでは、今度は地球から連邦の影響圏に向かうわけだけど、

 航路は来た時と同じ航路を逆にトレースする形でいいのかな?」 


 と桂川さんが地球に来た時の航路データーを見ながら確認する。


 モールさんが、にっこり笑って。

「いや、実は日本の人には言えなかったんだけど、もう一つ航路を見つけたんだ」


「モールさん、航路ってどういう事?」


「地球に来るのに1年もかかったから、短縮できないかなと思って」


「いや、中央に巨大ブラックホールがあるから、ショートカットは無理でしょう?」


「うん、そっちは無理だね」


「そっちはって、別に何かありました?」


「銀河系の外にでて、そのまま連邦へ行く」


「出来るんですか?」


「これなら連邦まで6ヶ月で行ける」


「モールさん、この計画、ケンタウルス座アルファ星系に行く前に考えてましたね」


 「・・・どうして?」


 「どう考えても、今回作った触媒物質の量が多すぎます。

  備蓄にしても多いし何をするのかと思ってました」


 「桂川さんには、ばれちゃってたか」


 「自分なりに、今回の航行プランを立ててみて気が付きました」


 「さて、もともと、生命維持用の物資は余裕があるし、

  後は地球から持って行きたいものはある?」


 「あまり、思いつきませんが何か嗜好品でしょうか?」


 「日本円に換金しておいたから、時間を見つけて買っておいてね」


 「モールさん、教えてください。日本円に換金したんですか?」


 「・・・言わなきゃダメ?」


 「ダメです」


 「予備のクリーンユニットをJAXAに売っちゃった」


 「なんてことを・・・」


 「ホントは、小型宇宙船どうですか? って聞いたんだけど、

  取り合いで戦争になりかねないって断られたんだ」


 「JAXA、最後に理性が働きましたね」


 「ははは・・、JAXAは乗り気だったんだけど、

  国からストップがかかったみたい」


 「じゃあ、資金は潤沢ですね。みんな何を買う?」


 「カーゴスペースに余裕があるから、大きな物でも大丈夫だよ」


 「いや、そんなに大きなモノは、必要無いです」


 「モールさんは何か買ったんですか?」


 「実は君達に会う前に果実酒作りにはまってね、

  地球の果実酒も何本か買ってみたんだ」


 「・・・何本かですか?」


 「いや、沢山買っても、そんなに飲めないしね」


 「モールさんらしいですね」


 「そうかな?」


 「ええ、本当にそうですね」


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スクールバス拾いました 黄昏 暦 @kaku_twilight

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