閑話集 桂川(兄)2、モールの怒り、悪夢

閑話 其の壱 桂川(兄)2 JAXA宇宙船購入騒動顛末うちゅうせんこうにゅうそうどうてんまつ


※あくまでフィクションです。実在する公的機関では

決して行われません。


 JAXA筑波宇宙センター


 【桂川(兄)】


 「センター長、すみません。JAXAに現金いくらありますか?」


 「桂川、JAXAに金が無いのは、お前も良く知っているだろう?」


 「すみません、今回だけは金を出してもらいます」


 「てめえ。どこの闇金に手をだした?」


 「実はモールさんから日本円が必要なので小型宇宙船を買わないかとの

  打診がありまして」


『『 ガシッ‼ 』』


「プ、プロジェクトマネージャー? 主任? またですか?」


 「センター長、どうしますか?」


 「いくらだ?」


 「は?」


 「モール氏はいくらの日本円を提示している?」


 「いえ、向こうからの金額提示はありませんでした」


 「・・・そうか」センター長がガックリと肩を落とす。


 「ですが・・・イプシロンロケット1機程度の費用なら可能かと思い

  センター長の許可があればモール氏に提示してみようかと思いまして」


 「桂川、俺が許可するから、すぐにモール氏に連絡したまえ」


 「センター長、聖川代表や各省庁の許可はどうします?」


 「そんなもの、事後承諾だ。気軽に火星軌道に行けるんだぞ、

  たとえ10倍出しても買いだろうが」


 「だれか、すぐに官邸に連絡を取れ、これがばれたらJAXAの予算が止まるぞ」


 「バカヤロー、何をいってやがる。人類の夢が、たかが50億ポッチで

  目の前にくるんだぞ」


 「いや、センター長、国民の血税ですから、その発言は」


 「50億じゃ、戦闘機1機買えないんだぞ、その金で宇宙船・・良いじゃないか」


 「いや、JAXAウチから国防費にケチはつけられません」


 「それなら国際宇宙ステーションに年間350億もかけてるんだぞ、

  あれ辞めちまえ」


 「だれか、センター長を止めろ~ 」



閑話 其の弐 モールの怒り


 「先ごろ、ケンタウルス座アルファ星系から帰還した

  輸送艦ユーフレナルとモール氏についての情報が入りました。

  ユーフレナルが連邦に帰還する際、

  本人の希望で4人の日本人が連邦市民権取得の為、

  同行する事になったと政府から発表がありました。

  地球での出発時期に関しては、

  地球時間で1ヶ月後を予定していると言う事です」


 都内 某所 桜元家


  【桜元 佳乃】


 今日は、我が桜元家にモールさんをお連れしました。

 「どうぞ、モールさん、こちらですわ」


  玄関の前で、お父様とお母様、それから琴乃ちゃんが居ます。


 「お父様、お母様、琴乃ちゃん ご存じと思いますが、こちらがモールさんです

 モールさん、父と母と妹です」


 「初めまして、モールです。この度は無理を言ってすみません。

  文化が違うとはいえ娘さんにこのような事を言う親御さんに

  少し言いたい事がありまして」


  ああ、モールさん素敵ですわ


 「おねえちゃん、どうしてモールさんあんなに怒っているの?」


 「もともと、私が高島浦家との婚約に悩んでいて相談に乗ってもらっていたの

  その話の時もね、私の意に沿わない婚約を止めようとして

  地球に着いたら、お父様とお母様を説得しようとしてくださっていたの。


  実際、地球に帰ってきたら、私よりも幼い琴乃ちゃんが婚約話の矢面に

  立っていたでしょ、

  モールさん、女の子が理不尽な目に会って泣いていたら、

  絶対に助けてくれる人だから

  琴乃ちゃん、もう大丈夫だよ」



閑話 其の参 悪夢


※あくまでフィクションです。


 【佐倉 静香】


 「静香、就職は何処に決まったの? え? 私立姫島女学園って

  まさか、あんた母校の教師するつもり?

 いや、唯でさえ男の気配が無いあんたが女子高の教師なんてして大丈夫なの?

 もう26歳なんだよ、わかってるの?

 うちのクラスのメンバーもう半分結婚してんのよ、もう折り返しなの。

 人の結婚祝いを払っている場合じゃないのよ

 え? 自然な出会い? 少なくとも姫女の敷地では遭遇すらゼロよ。


 なに? 私だってその気になればって・・・・

 静香、あんた肉親以外でいつ男と話をしたか思い出してみな 

 八百屋と魚屋のおじさん以外ね、無いでしょ。そうよね、

 あんた、ただでさえ経験値が低いんだから、ぼ~っとしてたら、教え子にまで、

 どんどん先を越されるわよ、男の人だって若い方がいいんだし・・・


 「先生、お先に失礼いたしますわ」 い・・・一条寺さん


 「先生、先にいくね」 桂川さん・・・


 「先生、私幸せになります」 桜元さ~ん、ちょっとまって~


 「先生、今までありがとう」 朝倉さん、おいて行かないで


 「佐倉さん、こっちに来なくて良いんですの?」 イシサルさん、


  でもでも・・・私は教師として


 「教師として? こんな事を叫んでおいて教師ですか?」 


  ・・・瑞野さん、どうして、そんな目で先生をみるの?


『あなた達の魂胆は判っています、この歳若い少女達に、おのれの汚い欲望を

ぶつけるつもりでしょうが、そうはいきません。


私は教師として、この子達を守ります。決してあなた達の毒牙にはかけさせません。

  たとえこの身がどうなろうと、私の生徒には指一本触れさせませんよ 』


 「うぎゃ~~~~~~~~~~~~~~」

  そこで私は目が覚めた。


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