還
「こんにちは」
言われた相手はまさか人がいるなんて思いもしなかったのか、反応が返って来なかった。
仕方がないので、おんなじことをおんなじようにもう一度繰り返す。
「こんにちは」
「こんにちは......?」
今度は返って来た。
向けていた視線を空に戻す。
戸惑っていた相手も本来の目的を思い出したのか、適当なところに腰を落ち着けたようだった。
びゅうと風が吹いて、髪が揺れる。
その間にやってきた相手が座った場所をちらりと見た。
奇しくもそれは、かつて私が座っていた場所と同じだった。
あなたは天国から私を見ていますか? あなたはこんな心地で私を出迎えてくれたのですね。
あなたが書き遺した通り、私は長生きしようと思います。あれのおかげで、私は学校に通い続けれています。ふとした時に苦しくなることもありますが、あなたの遺しものが私を衝動から守ってくれています。
つまらない日常だとは思いますが、これからも私のことを見守っていてください。
あの日、あなたは叶えてほしいことがあれば、叶えてあげると私に言いましたよね。そういえばあれ、まだ使ってなかったです。だから今、願わせてください。もし生まれ変われるなら、あなたと一緒がいい。
私が死ぬまで首を長くして待っていてください。そして、遅かったわね、なんて言ってくれると嬉しいです。
私達は、死に場所を探す 涼水 ゆい @Yui_itsu
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