第45話
――年後。
少女は縁側で空を眺め、膝の上の黒猫を指先で優しく撫でていた。
少女が今いるのは祖父母の家。祖母が死んで、母の実家である祖父母の家の片づけを両親がしていた。
祖母はずっと元気だったのに、祖父が死んですぐに病気になって、後を追うように逝ってしまった。
でも、少女はそれでよかったと思う。祖父母は本当に仲良しだったから。
少女には祖父母が二人でいないところなんて想像も出来なかった。二人はいつだって一緒だった。きっと天国でも二人一緒に仲良くやっていることだろうと思う。
生前、二人はいつも言っていた。本当に自分たちは恵まれていると。多くの人たちに助けられ、愛されて今の幸せが在ると。いつかみんなに恩返しがしたいと。
二人の願いは叶ったのだろうか。少女にはわからない。
それでも少女は二人から多くの愛と幸せを貰った。
とても優しい祖父母だった。少女は二人が大好きだった。
「会いたいな……」
そうつぶやいた少女に答えるように、少女のひざの上で猫がにゃーと鳴く。
猫もまた二人に会いたいのだろうと少女は思う。この猫は元は祖父母が飼っていた猫だ。いつの間にか勝手に家に居ついてしまって、そのまま飼うことにしたらしい。特に祖父に懐いていた。
少女は黒猫のリースを抱き上げて、立ち上がる。そして空を見上げた。
美しい青空だ。空を彩る小さな白い雲。その雲の上から二人が見守ってくれている気がした。いつもみたいに二人で楽しそうに手を繋いで、比翼の天使のように中睦まじく。
だから少女は笑顔を浮かべて、青く美しい空に見惚れていた。
「青い空の作り方」 鈴木りんご @ringoo_10
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