敵国であるメビウス王国に逃げ延びてきた一人の少年、シグマ。
追手に追われ命尽きようとしていた彼は、一人の少女に出逢う。
美しい金髪と灰色の瞳を持つ少女――アリスから持ち掛けられた契約は、魔法学園に入学する彼女の駒となることだった。王位を、その手に掴むために。
人ならざる膨大な魔力を有するシグマの秘密。それに凄惨な過去が徐々に明らかになっていくも、それらを乗り越えてアリスのために生きようとするシグマの姿勢がとても好ましいです。新しい生活に感謝し、自らの中で湧き上がるプラスの気持ちに戸惑いつつも素直。コミュニケーションが苦手だという彼が、彼なりに人間関係を構築していく様も見所だと思います。
もっと幸せにしてあげたいとすら思う、魅力あるキャラクターです。
アリスは魔法戦においては抜きんでて強く、時折見せる怖い表情も彼女の魅力の一つ。彼女の方も重い過去がありそうですが、シグマがいればきっと大丈夫と思えるくらい、二人の関係を尊く感じます。
人物描写だけでなく、魔法や武器を使った格闘などの戦闘描写も分かりやすく丁寧で、各キャラクターの色もあって素晴らしい!
彼らを取り巻く人々もキャラクターが立っており、一癖も二癖もありそうな人たちで、これから二人にどう絡んでくるのか非常に楽しみです。
アリスはその目的を遂げられるのか。
シグマはアリスを支え続けられるのか。
最後まで見届けたくなる物語です。