最終章、結末
「……。」
俺の目の前にはミヅキが横たわっていた。
一心不乱に氷のハンマーを振るっていたときは気づかなかったが、時間が経つにつれて手からジンジンと痛みが伝わってくる。
しばらくすると外から車の音が聞こえてきた、あの男がやってきたのだろう。
パン、パンと手を叩きながら男は俺に近寄ってきた。
「素晴らしいよ!水槽の水を凍らせて鈍器を作る、見事な発想だ。」
人を殺したあとの言いようのない虚無感に襲われて、男の話はほとんど耳に入らなかった。
「今度は私が約束を守る番だ、君が家に帰れるよう両親を説得しに行こう。」
……親か。
家に帰ったところでエレナは居ない、俺たちを捨てた両親の元に帰ったところで一体何になると言うのか。
俺はこれからどうすれば──。
「……そうか、そうだよな。」
「何か言ったかい?」
「いや、何でもないよ。」
そうだ、これからは復讐に生きよう。家に帰ったら親を殺す。そして親を殺した後にこの男も殺せばいい。
そう考えると俺の視界が一気に広がった気がした。考え方を変えるだけで、こうも家に帰るのが楽しみになるものなのか。
ミヅキを殺したあの感覚を、また味わうのも悪くない。そう思いながら俺は男の車に乗り込み家へ向かうのだった……。
──こうして俺の館での生活は終わりを告げた。
デスゲーム そういち @SOUITIX
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます