第2問 異世界転生論

(踏切りの音が聞こえる。そう、いつもの通学路として使っている踏切の音だ、、、、)


(カンカンカンカン、、、、)


(なんだ、ここは、、、今までの自分が経験した記憶が映っている。頭の中を誰かから見られているような気がする)


 場面が変わり、電車の中だ。冬川はつり革を持って立っていた。しかも、自分は制服の姿で。

 

(そう、ここはいつも通学で乗車している電車の中だ。あれ、自分はなんでここにいるんだろう?)


 冬川自身の記憶が曖昧になっていた。


(あれ?なんだか、不思議な感じがする、、、、)


 電車の運転室から、ガラガラと扉が開いた。車掌の格好をした人がこちらへ近づいて来た。


 コツコツ(足音)


その人の顔は人間の顔つきではなく、骸骨(ガイコツ)の顔をしていた。その骸骨から黒い切符を手渡された。その時、冬川が目に入ったのは手も骨であった。

 骸骨は陽気にしゃべり始めた。


「ひゃひゃひゃひゃ、ようこそ!『転生列車』に!」

「あなたは、これから異世界に転生するのですYou!!!」

 

 骸骨の車掌は冬川の顔を近距離で喋ってきた。しかも、近距離なので喋る時に唾(つば)が飛んで来る。思わず、冬川は持っていたハンカチで顔を拭いた。

 

(テンションが高い不気味な骸骨だ、、、、)


 冬川は渡された黒い切符を見てみると、「タックス・ヘブン行き」と書かれていた。冬川は「タックス・ヘブン」のことについて骸骨の車掌に聞いた。

 

「この『タックス・ヘブン』ってどこ?」


 再び、骸骨の車掌は近距離でペラペラと話し始めた。


「Oh~貴方は~今から『タックス・ヘブン』へ転生されます~~~」

「そこで~~あなたは新たな人生を歩むことになります~~~」

 

 車掌はラップ風に喋った。それにムカついたのか、冬川は車掌の足を踏んだ。


 グイグイ(足を踏む音)


「痛っ!!!!なにをするのですか~アナタみたいに~皮と筋肉がついていないので~踏まれると痛いのYOU!!!!」


(ウザい、、、、)


 車掌は「タックス・ヘブン」について普通な口調に戻り、説明を始めた。


「その『タックス・ヘブン』というのは経済学を魔術に変えて、日常生活を暮らす穏やかな世界です。主にマクロ経済学・ミクロ経済学・計量経済学・経済史・経済政策などの理論を学び、そして魔術に置き換えるというなんとも珍しい世界です。だが、近年では『鬼』といわれる生物が魔術師つまり、人間たちを襲っているのです、、、、」

「そこで、あなたに経済学を学んで、『鬼』を殲滅してほしいのです。なんせ、『鬼』たちは戦闘機やミサイルなどの通常兵器の他に核兵器も使われている。現在では人間が住んでいる領土の約60%も侵略されております」

「だから、あなたにこの「タックス・ヘブン」を救って欲しいのです」

 

 冬川はそれを聞いて、理不尽に急に言われたので車掌にキレ気味で言った。


「ちょっと待って!!!!!俺、経済学は学んだこともないし、大学に入学してもないんだぞ!なんせ、計算とか苦手の方だからそういうことに、むいていないかしれない、、、、」

「しかも、いきなり異世界転生と言われても想像がつかないんだけど」


 車掌はクスクスと笑い始めた。


 (この、車掌ムカつく!!!!)


 車掌は、笑いながら喋り始めた。


「ぷっ、、、計算もできないとか、ぷっ大丈夫だよ。身体スキルや能力スキルは死んだ人の体を借るから、安心しな」


 車掌はバックからメニュー表みたいなモノを取り出した。


「それと、君の外見メニュー表から選んでくれ。そこから、死人の外見や身体スキルや能力スキルなどのレベルも表示されている」


 冬川はそれを聞き逃さなかった。


「ちょっと待って、何で死人の体に憑依する必要があるんだよ!!!!」

「このままでの姿でいいんじゃないか!」


 車掌は1回ため息をついた。


「あのねー君、一回死んでるの?わかる?あなたは今死んでますの!」


車掌は2回ほど、「あなた死んでますよ」っと言われた。

 

 冬川には、記憶が無いので死んだ覚えが一切無かった。記憶を思い出そうとすると、ボヤボヤと誰かの顔を思い浮かぶのだがはっきりと思い出せなかった。


 車掌は謎のメニュー表を再び冬川に渡した。


 外見メニュー表をペラペラページをめくって見るとほとんど高齢者やアラサーなどしかいなかった。冬川はなるべく20代で、かっこよくて、頭がキれる自分が良いと希望を抱いていた。メニュー表を見ていたのだが、希望に近いのがなかなか見つからなかった。必死に探しているのに車掌はガムをくちゃくちゃと噛みながらエロ本を読んでいた。


「おいコラッ!!!!何、人が一生懸命に探しているのにエロ本を大胆に見ているんだよ!お前も仕事をしろ!!!つーか、お前運転手だろ、運転しないのか?」

 

 車掌はガムをくちゃくちゃ嚙みながらエロ本を背負っていたバックに入れた。


「あーこの電車、自動運転ですからねーーー」

「エロ本はちょっとした、、、趣味ですからね、、、、大人の嗜みってヤツ〜〜」


 車掌はバックから何かを取り始めた。一枚のビラを取り出して、冬川に渡した。そのビラを見ると、「大特価」っとどこかのスーパーのチラシみたいな紙であった。

 だが、そのビラを見ると全体的に顔が整っており、能力スキルが高かった。そのビラにはイケメンで能力スキル★5の23歳の青年の事が記載されていた。

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異世界魔術シリーズ:異世界魔術論〜幻想×経済学〜 メロン姫 @meronwabi

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