異世界魔術シリーズ:異世界魔術論〜幻想×経済学〜

メロン姫

第1問 異世界転生学

「第一の少年の転送システムはどうなっている?」

 

  男は軍服を着た女性に聞いた。

 

「現在、システムは順調に進んでおります。後、1日で完成致します!!計画も遅れなく進行中です」

「システム上も問題ありません。ですが、彼はαと接触した模様です。作戦に支障が出るのでは?」


  男は、ニヤリと笑って答えた。


「まさか、奴がそう来るとはな、、、、、」

「直ちに、作戦をグリーンからレッドに移行する!さて、我が子と再会するのはいつぶりだろうか、、、」


「了解致しました!!」(軍人たち)

 


(私の野望がついに、叶う。やっと、会えるな冬川)


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  

 この頃、現実世界では、、、、、、

 

「おい!冬川、聞いているのか?ボォーとしているぞ!また、女子の事を考えているのか?」


 俺の名前は、冬川学(ふゆかわ まなぶ)。父親を亡くして先月は、法事で学校をほとんど休んでいた。今年の4月から、都内にある大学に通うこととなっている。だけど、最近はこの生き方で良いのか正直迷っていた。(就職もアリだなと思う)

 先程から親友の佐藤亮一(さとうりょういち)がウザいほど、絡んでくる。コイツは悪い奴ではないが、俺をからかってくる。ちなみに、コイツも春から同じ大学。佐藤はSNSを通して、最近彼女ができた。


「うるせーな。この前の大学受験を終えて、昨日は徹夜でゲームをしてたんだよ。だから、寝みいんだよ!」

「でも、お前はいいよな。彼女が居て。いつも、下校中にイチャイチャしているくせに、、、、」


 佐藤は、肩を2回ほど叩いた。そして、揶揄(からか)うかのように言った。


「悪かったな。俺も彼女と居るとき、たまにだけどイライラするときもあるぞ!なにせ、異性だからな!」

「でも、お前もモテてるだろう。顔も中々美形だし、スポーツもできるし。あ、そうそう3組の斎藤さんお前のこと好きって言ってたぞ!」

「それよりさぁ、お前最後のクラスの打ち上げ来るか??」


冬川は行くか行かないか、かなり迷っていた。あまり、このクラスと馴染なかったし、大勢でワイワイガヤガヤするのは好きじゃないから。


「考えておく、、、」


佐藤には、めんどくさそうに返事をした。


 冬川は、机にうつ伏せにして寝込んでしまった。

 それから冬川は、昨日の徹夜の疲労(ゲーム)で放課後まで寝てしまった。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


それから、約1時間後、、、

 起きると教室に誰にも居なかった。いつもは、女子が数人くらい残っているのだが今日は誰も残っていなかった。


 冬川の腕時計をみると、17時を指していた。外を見ると、烏(からす)がこちらを睨み付けていた。気味が悪くなり、急いで鞄(カバン)に教科書や筆箱を入れ、帰る支度をした。教室から廊下に出てても、廊下にも一人も居なかった。

 

(一体、どうなっている、、、、、、、、)


 廊下を歩いていると、不気味な夕日に煽られ誰かが向かってくる。コンコンっと足音が徐々にこちらに近づいてくる。一瞬、先生かなっと思ったのだが背があまりにも低かった。

 目を凝らして見た。そこに居たのは、銀髪で肌が真っ白な美少年の少年の姿であった。しかも、冬川が通っている海南高校の制服を着ていた。

 

「やぁ、冬川君」


 冬川は、知らない少年から自分の名前を呼ばれたことで鳥肌が立った。しかも、なぜか不気味なオーラが漂っていたので一歩後ろに下がてしまった。


(俺は、コイツを知らない。海南高校の制服着ているのだが、3年間の高校生活で見たことない)

 

「お前、誰なんだよ!お前の事、一切知らねえぞ!つーか、お前ウチの制服着てるんだけどクラスは何処だよ!!!」


 謎の少年はフフっと笑った。


「今はその件に関しては話す時ではない。だけど、今回は君と他の話題について少し話そうと思ってね」


「さあ、帰ろうよ!冬川君」


 冬川は断った。


「嫌だ。初対面の人と誰が一緒に帰るかよ!」


 冬川は少年の誘いを断ったが、学校から出ても少年はしつこい程後ろから着いてくる。


「冬川君、一緒に帰ろうよ~!」


 余りにも、しつこかったので妥協してしまった。渋々一緒に帰ることにした。初めて、見知らぬ人と帰ることに違和感を感じた。

 

(とりあえず、初対面だから名前だけでも聞いとくか)


 冬川は勇気を出して、名前を聞き出した。


「君の名前ってなんていうの?」


 少年は、躊躇なくストレートに答えた。


「夏川月(なつかわらいと)。それが僕の名前だ」

 

 冬川は、踏切の前で今まで思っていた疑問をぶつけた。

  

「君は一体何者なんだ?」



(カンカンカンカンカン、、、、、、、、、)



 踏切の音が鳴り響いていた。冬川は夏川の顔を見ると、不気味な鬼のような顔をしていた。


「ちなみに、海南高校の生徒たちは全て食べてしまったんだ!!」

 

 そして、夏川は冬川の胸に軽く手を当てた。突然、こう呟いた。


「爾(なんじ)この世に、経済学という名の魔術をこの現実世界に呼び寄せよ!」

「第1の節、見えざる手!!!!」

 

 冬川は夏川の衝撃波で吹っ飛んでしまった。そして、夏川は小さな声でこう言った。


「バイバイ、冬川君、、、、、、」


 冬川は踏切のバーを超えて、電車に轢かれてしまった。享年18歳の温かい3月の出来事であった。


(俺は、死んだ、、、、、、)

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