1時限目終了→休憩時間


 俺は、バックルームズで一日以上、もしかしたら二日分くらいの時間を過ごしたはずだが、今日は遅刻しそうになっていたその日だった。つまり、この現実世界からすれば、実質数十分程度のできごとだった、というわけだ。


 俺は、机に突っ伏していた。

 足が痛い、それに眠い……。


「むぅ君、ちょっと変な質問していい?」


 その声に俺は顔を上げる。

 斜め一つ前の席から、ユミちゃんがなにやら真剣な表情でこちらをみてた。むぅ君は俺のニックネーム。ユミちゃん——早見由美はやみ ゆみ——とは、いわゆる幼馴染ってやつだ。


「なに?」

「ねえ、遅刻してきたとき、その……まるで、むぅ君、天井から落ちてきたように見えたけど。私の気のせいだよね」

「さあね。俺は“奥の部屋バックルームズ”から逃げ帰ってきたんだ」

「なにそれ? また変な冗談? こっちは真面目に聞いているのに」

「今日はとにかく眠んだ。それと、なにげない日常のすばらしさを感じてる」

「へんなの」


 ああ、そんなこと言われたって、今は構うもんか。

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The Backrooms (His Experience) 八重垣みのる @Yaegaki

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