微笑ましくも沁み沁みとする、短編ストーリー。短編ならではの読み味が素敵な作品。横組みから縦組みに変えてみたことで、物語がスッと入ってくる不思議な体験をしました。もしかして他の作品でもそうなのかなという気付きでした。あと、初読で気付く方は……これ内緒にしますね。
のどかな日常があり、奇跡と呼ばれる力があり、未来が読めるゆえのせつなさがあり。この物語から感じた美しさは、ひとつは文章描写そのもの、もうひとつはこのせつない物語が紡ぎ出す運命や感情といった部分だと思います。ビターではあるのですが、とにかく美しい。そう感じました。