第35話未来

颯杜さんが私を庇ってくれた日からしばらくして、今日は私の高校の卒業式…


「萌果!」


「柚杏…」


「卒業…しちゃったね。」


「うん…」


「颯杜さんにも見てもらいたかったよね。」


「仕方ないよ。」


私と柚杏は"高校3年間色々あったよね"なんて話をしながら桜並木を歩いている。


「萌果はこれから一人暮らしだっけ?」


「そうだよ。ちゃんと颯杜さんとの約束は守るけどね!」


「そっか…」


「萌果さん」


私と柚杏がしんみりしていると声をかけられ、振り向くとそこには綾人さんがいた


「綾人さん!」


「お迎えに上がりました。柚杏さんも一緒にどうぞ?」


「は…あー遠慮しときます!」


「なんで?一緒に帰ったらいいじゃん?」


「私はお邪魔になっちゃうからね!」


「え?」


「ほら、王子様が迎えに来てるよ?」


柚杏が言う方向を見るとそこには…


「萌果」


「颯杜さん!!」


「ただいま、萌果」


「おかえりなさい!!今日、退院だったんだっけ?」


「颯杜さん、萌果さんにサプライズをしたいって言ってわざと日にちずらして教えてたんですよ」


「綾人、それは言わない約束だろ?」


そう。あの時、誰もが颯杜さんは助からないと思っていた。でも、なんとか一命を取りとめていた。


退院出来るようになるまでかなりの時間を費やしたけど、颯杜さんは私たちのところに戻ってきてくれた。


「萌果、帰って卒業パーティーするぞ。柚杏ちゃんも来るだろ?っていうか、来い」


「拒否権ないじゃないですか!」


「当たり前だろ?お前は萌果の大事な親友なんだから」


「じゃあ、行きます!」


颯杜さんは柚杏を強制連行して家に帰ると、どうやら綾人さんにしか本当の退院日を伝えてなかったらしく、瞬さんたちも泣きながら颯杜さんを出迎えていた。


その後、卒業&退院祝いパーティーをして盛り上がった。

後日、聞いた話だけど桐生さんは豊橋さんによってどこかに連れて行かれたらしい。

それは聞いても教えてくれないから聞くのを辞めた。


私は颯杜さんに話があると言われて、2人で夜桜を見に来た


「萌果が卒業か…今日までに色々辛い思いさせたな」


「正直、颯杜さんが撃たれてもうダメなんだって思った時が一番辛くて悲しかった…生きていてくれてありがとう」


「萌果…」


「これから一人暮らし頑張るね!」


「あぁ。でも、ちゃんと約束は守れよ?」


「もちろん!合鍵も渡すし、週末は帰ってくるよ!」


「ならいい。」


「新生活かぁ…楽しみ!」


「…萌果。」


「ん?なぁに?」


私が聞き返すと、颯杜さんは跪き小さな箱を開けてこう言った。


「葉月萌果さん。必ず幸せにするし、もう悲しませるようなことはしない。俺と結婚して椿萌果になってください。」


「颯杜さん…!」


「今すぐ俺の萌果にしたいんだ。大学で悪い虫がつかないようにな。」


「もうっ…よろしくお願いします!」


「ありがとう。」


「すごく嬉しい!大好きだよ、颯杜!」


「今…颯杜って」


「呼んでみたっ」


初めて呼び捨てしたことに驚いて嬉しくないみたいな感じを出してたけど、私は見てしまった。

顔を赤らめて嬉しそうにニヤニヤしている颯杜さんの顔を。


「よ、よしっ帰って婚姻届書くぞ!」


「え?もう!?」


嬉しそうに私と手を繋いで家まで歩きながら"証人欄は綾人にするか"とかいろいろ言っていた


そんな颯杜さんをみて"この人が旦那様になるなんて幸せすぎるなー"なんて思いながらこれからの未来がすごく楽しみになった


「颯杜!これからもずーーーっと一緒だよ!!」




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私の許嫁は怖い人…? 詩羽 @yuli_h

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