第34話 最悪の結末
桐生さんが玄関を開けると大きな衝撃とともに桐生さんが飛んだ
「萌果!!」
「颯杜さん!!」
外が騒がしかったのは颯杜さんたちが来てくれたからで、桐生さんが飛んだのも颯杜さんが殴り飛ばしたからだった。
「桐生、お前薬に手を出したな」
「何の話だか…」
「お前忘れたのか。ここで暮らしていく以上、薬はご法度にしてたよな」
「それは前の組長たちが勝手に決めたんだろ?俺には俺のやり方がある」
「それだけじゃなく、自分でも使ってるよな」
「…せっかく、萌果にも使って俺の物にしようとしてたのに。邪魔すんなよ、椿」
「そういう事なら邪魔するさ。それにこの情報源は…お前が頼りにしている豊橋からだぞ」
「豊橋が…?なんで?」
「元々、お前のやり方に納得してなかったみたいだな。ムショに入ったのだって"組長命令"だったからだ。」
「く…」
「組長」
「豊橋、お前!」
「すいません。でも、流石にこれはやり過ぎです。」
「やり過ぎだと?」
「はい。前組長は地域密着型の組を目指していました。それなのに…息子のあんたがこんなことしていいと思うな」
「お前…誰に向かって!」
「俺たちはあんたがこのまま組長でいるなら狛龍組を抜けて解体するつもりです。」
「そんなの俺が許さない!」
「許さなくていいです。前組長はもう亡くなられている。俺たちが抜けたらどの道存続できないでしょう。」
「くっ…お前ら抜けてどうするんだ?行くとこなんかないだろう!?」
「それなら心配するな。お前以外の組員は俺の組で面倒を見る」
「牡丹組に行くってことか…わかった、好きにしろ」
「組長…」
私はハラハラしながらみんなの話し合いを見聞きしていたが、何となくだが良い方向に決着が着いたみたいでほっと胸を撫で下ろしていた。
「それと、萌果は返してもらう。」
「くっそ…」
「萌果、おいで」
「颯杜さんっ」
颯杜さんは両手を広げて、いつも私に向ける優しい笑顔をしていて、安堵した私は笑顔で駆け寄った
「萌果が俺の物にならないなら…」
桐生さんがそう呟いて立ち上がると颯杜さんを睨んだ後、私に銃口を向けてきた
「萌果さん危ない!!」
「!!」
綾人さんの言葉に、立ち止まった私の目に映ったのは銃口を私に向ける桐生さん。
その光景に思わず目をつぶった瞬間、銃声が聞こえた。
が、私には痛みが全く無く不思議に思い目を開けるとそこには…
「颯杜さん!!」
「萌果、大丈…夫か…?」
「私は大丈夫…でも、颯杜さんがッ…」
そこには私を抱きしめている颯杜さんがいた。
背中から血を流しながら…
「なんでっ…血が…」
「萌果、大丈夫だから落ち着け…」
「で、でもっ…」
颯杜さんの体勢を変え傷口にハンカチを当てて止血しようとする。
周りは"救急車!"とかいろんな騒がしい声が聞こえるが、私と颯杜さんだけは時が止まったんじゃないかと思うほどの空気感だった
「萌果。愛してる、ずっとずっと…」
「颯杜さん?何言ってるの?ずっと一緒にいてくれるんだよね?」
「あぁ、ずっと一緒だ…」
そう言って私の頬を撫でて、ニコッと私の大好きな笑顔を見せると私にもたれ掛かるようにして颯杜さんは目を閉じた
「颯杜さん?やだっねぇ!颯杜さん!!いやぁぁぁ!!」
私は泣き叫び、桐生さんは豊橋さんに抑え込まれながら笑っている。
そこにいる全員が唇を噛み締めていた
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