3.発見


「これが〈国掴神〉くにつかみですか」


 あまりの巨大さに、リュウは天を見上げて言葉を失った。巨大な神殿を模した建造物に格納されたその人工物は、冷たい殺気を放つ金属の外殻に覆われていた。


 こうして天を見上げて驚くような遭遇は、彼にとって2度目である。


「デカいだろう?初めて見る者は皆驚く。我々に古くから伝わる神々の名を模した、〈皇国〉の守護神さ」


 配属となった整備部隊の上官が言う。


「やっと見つけることができました。コイツがヤツをやったんですか?」


 リュウは、はやる気持ちを抑えられず、矢継ぎ早に思ったことを口に出す。


「ああ。5年前、コイツで帝国のデカブツを海に沈めてやった」


 これは機密事項だ、と付け加えながらも、中年の上官は得意げに情報漏洩を繰り返す。


「これで家族の仇が討てる」


「そうか、リュウ一等兵は大陸からの難民だったな。」


「はい」


 拳を握りしめ、リュウは上官に応じる。


「大丈夫だ。我々は必ず勝利する」


「はい、必ず。その為にここまで来ました」


 リュウは力強く返事をしながら、脳裏に纏わりつく、忌まわしい記憶を思い出していた。

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