図書室
一つの本棚につき同じ本がビッシリ、元は思想教育のための部屋のようだが、最初からギロチンが決まっていたのかそのような使われ方は一度もされなかった。
そんな図書室でも中に入ると少なくない人数が本を読み漁っていた。
その中に混じり本を取る。
死ぬ気で速読、だが得られたのは『黄エリア』の『レベル1』と『紫エリア』の『レベル1』どちらも不要な情報だった。
それにこれだけ同じ本が並んでいるなら、情報交換にも使えない。無駄足だった。
それでも、もし他で使えそうならば、また戻ってくるだろう。人の記憶には限界があり、無尽蔵には覚えられないのだ。
「なぁ、情報交換しないか?」
背後から声をかけられ、振り返ると蛇のような男がいた。
「俺は『青エリア』の情報を持てる。これとお前の情報と交換しよう」
提案、だが『レベル』までは教えてくれないらしい。
その上で、情報は欲しいが与えるのは遠慮したい。こちらの手持ちがない状態では相手にゴミ情報を掴ませることができないからだ。
せめて色かレベル、どちらで揃えるかを決めてからだ。
「嫌ならいいぜ。だが後から泣きついても教えないからな」
沈黙になお話しかけてくる蛇の男、その背後に更に人影が、看守が立っていた。
「貴様! 図書室で私語は禁止だ! 次なにか違反したならば有無を言わさず独房に放り込むからな!」
ペナルティ一つ、二つで独房、即ち情報収集ができなくなる。そうなれば恩赦は無理、死ぬしかない。
蛇の男はこれに怯えたように図書室から出て行った。
ここでの交渉は無理、一つ学んで俺も別の出口から外へ出た。
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