食堂

 ここのほぼ中央に位置する食堂は、収容所西側で大きく移動する際の通り道に、交差点のようになっていた。


 食事はいつでも可能、となっているが、実際は決められた時間に来なければ品切れで、時間に来てもお湯のスープだけだった。


 だから素通りするものも多いが、今は席に座り固まって話し込んでる集団もちらほら見えた。


 さてどうするか、 見回していると、先に入った猪のような男が壁際に重ねてあるトレイを一枚、手に取った。


 そしてスープには向かわず座席の方へ、迷いない足取りに興味を持って観察していると、その先には羊のような男がいた。


 互いに顔見知りではない様子、と思っていたら猪の男、羊の男にトレイで殴りかかった。


「ヒィ!」


 これにたまらず逃げようとする羊の男、だがすぐに追いつかれ、追撃を受ける。


 ならば反撃と拳を振るう羊の男だったが、元からの体格差に加えてトレイの武器の分、ボコボコだった。


「知ってることを吐け」


 力尽くでの情報収集、突発的な拷問に、羊の男は観念して『赤エリア』の『レベル1』の情報を吐いた。


 それをしっかり聞く猪の男と盗み聞く俺、口から発っせられた言葉は周囲にも聞こえるのだ。


 このような手があるのかと感心してたら猪の男、こっちに来た。


 ヤベ、と思った時には一発食らってしまった。


「知ってることを吐け」


 次が飛んでくるその前に、看守が飛んできた。


「貴様二回目だな! 独房行きだ!」


 当然、捕虜同士の暴行もペナルティが課せられるのだった。

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