雑居房
朝、点呼が終わり、一日が始まった。
どうせ明日にも死ぬ身、看守たちは監視こそしているが刑務作業などは強制してこない。
丸一日の自由時間、この間に情報を集める。
早々に別の部屋へ向かうものも多いが俺は違う。
空になった部屋を一つ一つ見て回る。
ベット、トイレ、棚、机、私物入れ、漁って漁ってようやくお目当てのものを見つけた。
薄くて真新しい『日記帳』めくって見れば文字がビッシリだった。
捕虜となった直後、暇を持て余すと悪さをするからと全員に配られたものだが、大半は自伝と遺言で塗りつぶされていた。
その中にはこうなるとは知らずに馬鹿正直に書かれた『点』も混ざっている、とは予測だった。
ペラリ捲ると予測的中、だが欲しい点ではなかった。
書かれているのは『緑エリア』の『レベル2』情報、俺が元から持っている情報は『赤エリア』の『レベル3』情報、恩赦のための証言はこの『色』か『レベル』が揃わなければ意味がない。
ハズレ、だが何かの役にはたつだろう。
日記帳を手に、次の部屋へと向かった。
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