あの人
奈那美
あの人
今日は金曜日。
週に一度、あの人に会える日だ。
10年前に初めて見かけた時に、恋に落ちた。
分不相応だと言いたければ、言えばいい。
誰かを好きになる、それのどこが悪い?
あの人の魅力は、他の人にはわかるまい。
みんな節穴だからな。
あの人の優しさ、気配り。
他の奴らの、誰が同じレベルでそんな優しさを供してくれる?
みんな我関せずでスルーじゃないか?
そろそろ、あの人が来る時間だ。
今日こそは、あの人にアピールしたい!
いや、しなきゃいけないんだ。
ここに居るって、知ってもらわなければ!!
パタン……
『せんせえ〜。この本が棚から落ちて来たよ?」
「あら、ありがとう。うーん、この本、あちこち傷んでるわね。おまけに日焼けもしてるし。閉架に回しちゃおうかな」
あの人はバーコードリーダーを手にする。
ピッ(蔵書確認)
ピッ(所蔵区分)
ピッ(閉架)
ボール箱の暗闇で思う。
学校司書には、惚れるもんじゃない。
あの人 奈那美 @mike7691
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ななめむきの日々/奈那美
★147 エッセイ・ノンフィクション 連載中 295話
手術と入院と、その前と後と/奈那美
★71 エッセイ・ノンフィクション 連載中 21話
ついてきてる?/奈那美
★89 エッセイ・ノンフィクション 完結済 1話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます