第3話
そこにあったのは、伊藤の首吊り死体だった。
「は?」
何が起きてる?その死体の顔は見るに耐えないが、伊藤だ。確かに伊藤だった。
「・・・」
帰らないと。俺は全力で帰路を走った。走り続けた。
・
・
・
「はぁ、はぁ・・・やっと」
やっと樹海の立入禁止エリアから出れた。そう思った矢先、最悪だ。
「・・・え?」
そこにあったのは、遠藤の首吊り死体だった。意味が分からない。さらに、追い討ちをかけるように突然スマホが、再起動し始めた。
「・・・」
そのスマホを見ると、写真の画面に切り替わった。その写真は連写の時の写真だ。首吊り死体の後ろ姿が写っていたが、動画のように死体がこちら側を向いた。その死体は俺達三人だった。
「そうだ」
俺はとっくに、知ってたんだ。俺達は死んでいたって。最初から皆、いなかったんだ。ああ、いやでも思い出す。生きていたときのことを。
俺に友達なんてのはいなかった。家族とも最悪だ。対等な関係の奴なんて、俺にはいなかった。俺の態度は2種類だけだ。
頭下げて、へこへこして、へらへらして作り笑いしてるか、声張り上げて物壊して暴れてる、横柄かだ。そんな俺は学校で当然いじめられていた。
普段は無視されて、邪魔になれば無言でぶん殴られる。家でも、俺に対する愚痴しか聞こえない。そんな日々に俺は嫌気がさして、樹海に向かった。
自殺しにな。するとそこで、ふざけてる奴らがいるわけだ。遠藤と伊藤だ。自殺しにきた俺は急に気力が沸いてきて、そいつらを絞殺してやった。
次は人を殺した、罪悪感が襲ってきた。それで自殺した。以上、これが俺のクソみてえな人生だ。
クズで馬鹿みたいな話だ。そんな俺が何でまだこの世を徘徊してる?まあ、未練だらけだしな。当然か。
すると、目の前の木に絵が浮かび上がってきた。それは一度みた、女性の絵だった。
「あ・・・」
さらにその絵が立体化してきて、現実の物となった。首を吊った女性。そう、それは俺の母だ。
「・・・」
もう嫌だ。何で、この世にいなきゃならない?この世から逃れたくて自殺したっていうのに。霊の自殺?笑わせるぜ。
霊の自殺 √x @syonennA
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