第56話 生殺与奪

 六花について橘幻煌の用意した資料には彼女の基本スペックは勿論の事、培養された人工の内臓や皮膚がどこにどれだけ使用されているかといった細かな事をはじめ、彼女のスリーサイズまでしっかりとされている旨が記されていた。


 だったらどうしてもう少し胸を大きくしてやらなかったんだと思ったが、兎にも角にもその設計の細かさには舌を巻いた。

 同時に、それがそのまま六花の『設計図』であるのだと思うと気が重たかった。


 既に、六花は人間ではなく『義肢シュライバー』そのものなのだ。


 だが、だからこそ、俺は勝機を見い出せた。

 世界一のシュライバーメーカーである橘製作所。

 その技術の粋を結集して造られた『橘六花』というシュライバー。


 六花はいつも正しかった。


 清く正しく美しく、そして正確だった。

 立ち居振る舞いは勿論、その太刀筋も、箸の扱いまでも、鮮やかで精緻だった。


 ……それはすべて、橘製作所の『技術テクノロジー』がそうさせていたのだ。


 最高の技術と最高の頭脳が、最高の精密を顕現した。

 だから俺は、同じ橘の技術の粋を正面からぶつけるしかないと確信していた。



 俺は攻撃に規則性を持たせ、それをひたすら繰り返した。

 六花に対して同じ攻撃を同じ距離、同じタイミングで繰り返す。

 まるで社交ダンスのステップのように、同じ距離で同じ動作を繰り返すのだ。

 出来る限り正確に、精密に、ループする。


 だからこそ、俺はレッグシュライバーに『ダンサーインザダーク』を選んだ。


 ダンサーインザダークはその名の通り、ダンサーのためのシュライバーだ。

 装着すれは、ダンサーインザダークは装着者の意のままにステップを踏む。


 それは事故や病気で脚を失った人や、もともとダンスを楽しむことが出来無い様なハンディキャップを背負った人達のために造られた、ある意味『救い』のシュライバー。


 六花がシュライバーはかくあるべきと標榜する種のシュライバーだ。


 そして、俺が目をつけたのはそのシュライバーの性能そのものではなく、他のシュライバーに類を見ない『機能』だった。


 ダンサーインザダークにはその使用目的の性質上、相手の動きに会わせつつ同じステップを踏み続けることができるという機能があった。

 『ウイッシュモード』というそれは、相手に合わせて設定されたステップをいつまでも、どれだけでも繰り返す事が出来る。

 ステップはフットワークだ。蝶の様に舞い、蜂のように刺す。


 俺はブラックジャックの『逆リンク現象』をそこに利用した。

 ブラックジャックの超精密動作をダンサーインザダークで再現し、それを全身と連動したウイッシュモードで延々と繰り返して六花のAIに俺の動きをさせ、反復のアルゴリズムを作らせる。


 俺の推測が正しければ、彼女のAIは即座に俺の動きを分析して対応するはずだ。

 どこまでも精密に、正確に、そのループに対応する。

 だが、生半なループでは駄目だ。

 そこに誤差があってはいけない。

 光も通さない程の精密さで一瞬の狂いもなく……そう、1万分の1の誤差すら許さな程の。


 結果、ことは俺の思い描いていた通りになった。

 六花は俺の動きに対して正確に反応し、それを反復した。疑う事なく、目の前の課題をこなしている。

 機械マシーン故の宿命……答えは出すが、そこに疑問が無いのだ。


 俺は六花が答えを出し続ける間にダンサーインザダークをウイッシュモードに切り替え、を待った。

 全神経を集中し、体勢を整え、その時を待つ。


 紅蜂は左腕の落下点まで脇目も振らずに這った。

 彼女は俺の動きからおおよその事は勘付いたようだったが、念の為作戦の内容を無線送信した途端、その動きが加速した。


「最悪最悪最悪……! そんな無茶苦茶な作戦だったなんて……!」


 この作戦の要である『紅蜂の左腕』を彼女から離れた所に蹴り飛ばしたのは当然、この反復運動を六花に学習させる時間を作るためだ。

 六花のアルゴリズムを利用し、最後の一撃を確実に喰らわせる為の準備の時間を稼ぐ……全てはその一瞬のため。


 紅蜂が地を這うその姿はまさに必死そのものだった。

 彼女は分かっていたのだ。

 生き残る為に自分の役割が極めて重大なことは勿論、この先なにが起こるか……だから、なりふり構わず彼女は全力で地を這ったのだ。

「くそくそくそ……あったまおかしいんじゃないの?!」

 紅蜂は怨嗟の様に繰り返して地を這う。

 だが、その姿は真剣そのもので、執念すら感じさせた。


 ……っ!?

  

 一瞬、鋭い痛みが額を掠めた。

(……来た……!)

 予想よりも早く、危惧していた事が起きた。


 ……ッ!!


 再び鋭い痛み。今度は首筋に感じた。

 同時に、眼前に赤いしずくが舞う。

 額の傷は思っているより深いらしい。その事実が、俺を真剣にさせた。


 作戦失敗の要因として危険視していた現象が、現実として起きつつあった。

 ……俺の予想よりずっと早く、六花のAIは俺の動きを読み、そして予測し始めたのだ。

 答えを出し続けるだけだった機械マシーンは、ついに答えを創造つくり始めたのだ。


 紅蜂にもその様子は伝わったらしく、さっきまでより必死に左腕へと向かった。

 その間も、俺の体の傷と出血は増えていく。

 このままでは紅蜂が左腕に到着する前に、俺はナマス切りだ……!


「急げ紅蜂!」


 痛みは鋭さを増し、出血は増える一方だ。

 生命維持のアラームが鳴り始めるのも時間の問題。六花の猛攻をしのぐのももう限界。いつ必殺の一閃を浴びるかもわからない状況が、紅蜂に力を与えたか。


「わかってるよ!! 言われなくても、やってるって……ばああ!」


 紅蜂はまるで肉食動物の様に大きく口を開けて牙を剥き、無残に転がっていた自分の左手にかぶり付いた!

 そして思い切り肺に空気を溜めた。

 遠目に見ても分かるほど、紅蜂の胸郭は膨らんだ……瞬間、それが一気に萎んだ。

 ……間に合った!



 次の瞬間、ピイイッと甲高い音が闇に響いた。紅蜂が自分の得物を呼ぶ、あの音だ。


 同時に六花の動きが一瞬だが止まった。何かを感じ取ったのだ。

 その敏感な感覚センサーが何者かの接近を捉え、それがなにかと思索する。

 お利口さんのAIらしからぬ、決定的な隙だ。

 この時を待っていた!


 俺の立てたこの作戦が上手くいくか否かはここからにかかっている。


 俺のシュライバーシステムはネットに接続されたまま、ゴーサインを待っていた。

 米軍の沖縄基地にある制空レーダーの防壁の真ん前で、この時を待っていたのだ。

 それだけでも危険な行為であるのは承知の上でのここからだ。

「……」

 緊張で体が強張った。


 その時、不意に六花の顔が脳裏を掠めた。

 あいつがふとした瞬間に見せる笑顔。

 年相応の、明るい笑顔。

 未来を信じる、そういう顔だった。


「……勝負だあああッッッ!!」

 俺はうどんちゃんから受け取ったハッキングの開始キーを打ち込み、侵入を開始した。


 ……!!


 直後、俺の網膜モニターに見た事もないくらい美しく鮮やかで、精密な映像が映し出された。


 これはレーダーというより航空写真だ。

 しかも恐ろしくはっきりとした映像で、周辺の航空機はもちろん、船舶、自動車、人間まで……表情まで窺えるほどの美しさで全てが見通せる。


(米軍の奴ら、とんでもねぇもん使いやがって……羨ましい!)


 そしてその精密すぎるレーダーには、今まさに『ここ』へと向かう未確認飛行物体がしっかりと捕捉されており、それが予想を遥かに上回る速度であったことが俺の背筋を存分に冷やした。


 だが、これでいい。こんなものは……こんな事は、早い方がいいのだ。


「六花ぁ!」

 思わず叫んでいた。同時に放ったストレートは躱されたが、次に放ったローキックはその大腿部を掠めた。


(当たった?!)

 それまで擦りもしなかった俺の攻撃が六花に届いたのだ。


「六花!!」

 俺はもう一度叫んだ。

 いや、呼んだのだ。


 そして放つ追撃のハイキックはスゥエーバックで躱されたものの、彼女の顎を僅かに捉えていた。

 ……攻撃が当たり始めている!


 それはおそらく、彼女のレーダーも俺と同様に未確認飛行物体を捕捉し、それを解析しているからだろう。つまり六花の防衛システムにが起きているのだ。


「紅蜂!!」

 俺が呼ぶより早く、彼女は俺の方へ向かって全力で這っていた。

「あーもう最悪最悪! あんたになんか関わるんじゃなかったあ!!」


 六花は飛来する未確認飛行物体が何でどこへ向かっているかまだわかっていない。でも、俺たちは分かっている。ロケットの様に飛んでくるのはあのでかい箱で、落下点は……そう、その箱の中身の主人あるじの元だ。


 突如、俺のモニターに真っ赤な警告が表示された。

 俺のレーダーがここに何かが猛スピードで飛んできていることをようやく察知した事と、米軍のハッキング逆探知がすぐそこまでやって来ている事を報せるアラームだった。


 すると突然六花が一歩後退り、目線だけ微かに泳がせて何かを探した。俺はその行動の理由を知っている。


「まだ終わってねえぞ六花!!」


 六花は落下物からの避難場所を探したのだ。

 そりゃそうだ。よくわからなくてデカいモノが近くに落っこちて来そうなら、誰でもとりあえず逃げる。俺も逃げたい。


「紅蜂ッ!! 来い!」


 言われなくても、と言いたげな表情で紅蜂はもうすぐそこまで来ていた。

「あー! もー! ……一発で決めてよ!!」


 10


 着弾予想がカウントダウンを始めた。


 ピーピーと不安を駆り立てる電子音が落下物を回避せよと勧告を繰り返すが、避難のタイミングはとっくの昔に過ぎてしまってる。


 9……


 8……


 何かが落ちてくる嫌な音と、警告音アラームやかましいが、俺の感覚は徐々に研ぎ澄まされていった。


 人間は死ぬ間際に神経が極限まで過敏になり、時間感覚が緩慢になるという。


 幾度となく感じて来たこの感覚は、俺がまだ人間であるという証だろう。

 では、六花はどうなんだろうか。

 今の六花は、何を思うのだろう。


 7………


 6……………


 まるでスローモーションだ。しずくになって飛んでいく血や、舞い踊る砂塵や、夜の空気さえゆっくりと流れていくのが認識わかる。


 その間も俺と六花の攻防は続いている。

 六花の動きは鈍くなったが、俺はそれでも決定打を決められないままでいた。


 六花のシステムが処理落ちをした様に、俺も同じように制空レーダーにかなりのリソースを喰われている。

 俺がやっているのはあの箱の正確な落下位置の特定と、そこに六花を持ってくるための最適な攻撃の選択だ。

 六花の処理内容より俺の処理内容の方が事は間違いない。


 5……………


 俺は六花にあの箱をぶつけるつもりは毛頭なかった。

 大体、ぶつけられるワケがない。抵抗されればそれでお終いだし、向こうも絶対避けに来る。

 だから俺はその裏をかいた。

 であの箱を呼んだのだ。

 当てずに、使う。

 あの箱は、使う為に呼んだのだ。


 4…………………


 落下位置の特定も、六花の誘導も最終段階でほぼ完了していた。

 後は最後の一撃を最高のタイミングで命中させることが出来れば、俺の……!


「ッッ!?」


 その時だった。俺の体が重い衝撃と同時にふわりと浮いた。

 六花が突然、俺に向かって体当たりをしたのだ。


(こ、これは……!?)


 完全に不意をつかれた。それに、それはただの体当たりではなかった。

 深く踏み込み、掬い上げるように打ち当てられた六花の左肩は俺を重力から解放したのだ。


(浮かされた?!)


 踏ん張る事も、体勢を変える事も、地面から僅かでも浮いてしまった体では何もできない。

 しかも、六花が当てたのは左肩。半身になって入り込んできた身体は右側に開き、その右手の白刃が一際煌めいた。


 3………………


(橘流の『技』か……?!)


 絶妙に放たれた体当たりはくるりと一回転するような体捌きへと変化した。

 右の刀はその遠心力で大胆な弧を描き、六花の肩越しにこちらへ向かってくるのがわかった。

 六花は回転した勢いで右腕をさらに加速し、その白刃の速度と威力を高める。


 ……そういう技なのだと、一連の完成された流れに俺は白んでいく頭で漠然と思った。


(……死……)


 この位置、このタイミング、そして俺の御膳立てされた様な無防備。

 刀の軌道は完全に俺の脳天だ。

 それでなくても袈裟斬り。

 何にせよ、俺を真っ二つにするには大した工夫は要らないだろう。


 後はもう斬られるだけ。


 土壇場の心境とはこういうモノなのかと、無常感でいっぱいだった。


 ……特に走馬灯が見えたりだとかはなかった。

 ただ、千鶴さんの顔が脳裏に浮かんでいた。


 もう、音も聞こえない程にゆっくりと流れていく時間の中で、背中越しに振り下ろされる刀の煌めきを待つだけの時間の中、不意に六花と目が合った。


 硬く閉じられ、仮面の様に張り付いたままだった瞳が俺を見ていた。


 悲しいような、寂しいような、懇願するような、年相応の、迷い、悩み、その答えを求める少女の瞳だった。


 そして訪れたその時。


 神速で振り下ろされた刃は突然軌道を変えた。


 そんな事は絶対にあり得ない。

 六花の腕前で、この距離まあいで、彼女が間違える訳がない。


 だが、刀は俺の脳天も首筋も無視し、を音もなく通り過ぎていった。


 そこは丁度シュライバーと胴体の接合部。その金属で出来た繋ぎ目が、寸分違わず両断されたのだ。


 痛みも出血も無い場所だ。しかも、六花の刃は余りの切れ味のせいか、これといった衝撃も残さなかった。


 殆ど空振りに近い状態だった。


 振り切った六花の体はその勢いで完全に開き、俺に対して全てを預けるように、大の字に胸を張る格好になっていた。


 俺の左腕は今気がついたように胴体から離れ、落下していく。


 六花は俺をじっと見つめていたが、全てを受け入れるように、今度は優しく目を閉じた。


 ……千鶴さんと六花が過ごしたこの短い時間が、その風景が、俺の頭の中を通り過ぎていく。


 俺は迷っていた。この勝負しごと、勝てる見込みは半々だった。

 負ければそれまで。勝てたとしても、中途半端な勝ち方は出来ないと覚悟していた。

 どう転んでも、ハッピーエンドは無い。



 橘幻煌の資料には、千鶴さんと六花が血縁関係である事まで詳細に記されていた

 ……千鶴さんが六花に向けるあの優しい眼差しは、自分と六花の繋がりを知っていたからだ。


 だから俺は迷った。

 でも、それでは勝てない。

 終わらない。


 俺は六花の哀しげな瞳とそれを大切に仕舞うようなその瞼を見て、決心した。

 いや、確信した。


 六花は、自らの意思で刀の軌道を変えたのだ。


 昨晩、六花が語った剣士の覚悟。

 それを物語るように、六花の顔は凛としていた。


 カウントダウンは残り2秒。


 飛びかけた意識は不思議な程にクリアになり、全ての物事を明確に感じる事が出来た。


 なんとも言えない感覚だった。


 集中力を超えた何かが、俺を衝き動かす様だった。


(千鶴さん、ごめん……)


 俺はすべての安全装置リミッターをカットし、ハッキングもシステムも、必要の無いものは全て解除はずした。

 もう、やる事はひとつだけだったからだ。



 放つのは右ストレート。


 狙うのは、六花の心臓。


 使用するのは『橘流・雲雀返し』。


 0.2秒以内に同じ位置、同じ力、同じ速度で打撃を与える事でその威力を発揮するという雲雀返し。

 人体の脆さをくその技が俺にできるかどうかわからない。

 だけど、もし六花に捧げるなら、これが相応しいと俺は思った。



 リミッターを解除したダンサーインザダークは、設計限界を超えた脚力で踏み込んだ。

 踏み込みの反発に加速された体重が、恐ろしいほどスムーズに身体中を駆けて右拳に流れていくのがわかる。

 その右拳もまた、設計限界を越える強さと速さ、そして比類なき正確さで六花へ放たれる。


 そして迎えた最後の1秒。


 もう視界にあの箱が、俺の望むように、六花の背後へと落ちてくる。


 或いは、それもまた六花の望みなのかもしれないと、そんなふうに思ってしまうほど、完璧だった。


 間も無く、俺の拳は全力で六花の心臓を打つ。

 しかし、0.2秒後に同じ事をするなんて無理だ。

 パンチを打って、それを引いて、再び打つのにコンマ2秒以内なんていうのは条件が厳しすぎる。打った拍子に相手との距離が出来るだろうし、次の一発まで時間がなさすぎる。せめて相手の背後に壁でもあれば……。


 そう考えて、思いついたのが紅蜂のあの『箱』だ。

 あれならだだっ広くてまわりに何も無い野外でも、どこにでも壁が作ることが出来る。ただし、落ちる場所の特定が出来れば。


 そこで紅蜂だ。あの箱は彼女を追って、その近くに落ちる。おおよその位置が分かれば、次は詳細な落下地点。

 精密なレーダーがあればこれもクリアできる。それこそ、軍用レベルの高精度なレーダーであれば……。


 その二つがこの状況を可能にした。

 チャンスは一度。

 次は無い。


 俺はありったけの力を絞り出して右拳を放った。

 同時に、六花の背後に箱が落ちて来て地面に突き刺さる。

 六花を支えるために。受け止めるために、箱はその頑強さで六花を待ち受ける。


 そして俺の右ストレートは六花の胸でそれを完成させた。

 俺は声にならない雄叫びを上げ、その右拳にすべてのエネルギーを込めて打った。


 柔らかな肉の感触。硬い骨の感触。それらが軋み、破壊される感触……


「うおおおお!」


 全てのエネルギーを伝え終えた。

 当然、六花はそれらを受け止めて……いや、受け止めたのは背後の『壁』だった。

 打たれて後退するはずの六花の体は背後の壁に阻まれ、後退を許されなかった。


 直後、先程の勢いのまま、俺の右拳は再び六花の胸で炸裂した。殆ど惰性で突っ込んだようなものだが、俺は全力を緩めていなかった。


 壁を使って六花を固定し、強制的に連続で2発目を命中あてる。

 これが、俺の雲雀返しだ!


「六花ああああ!」

 俺は吠えて六花と箱に突っ込み、もみくちゃになりながら無防備に転がった。


 相当な勢いだったので文字通り吹っ飛ぶようにして俺達は転がり、箱はバラバラになって飛び散り、あたりは急に静かになった。



 さっきまでの喧騒が嘘の様に、瓦礫と砂塵だけが夜の静かな空気に揺れていた。

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